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[ 発信所 ]

好きな作品を発信していきたいブログ

ただ最愛の人のために -『勇者イサギの魔王譚』

小説家になろう

なろう備忘録24弾。

『勇者イサギの魔王譚』を読み終えました。
本当に良かった。もう充足感が凄い。この昂る感情を記録すべく、今回もまた色々と雑記していこうと思います。簡単にこの作品を紹介しつつレビューしたのち、個人の感想を赤裸々にぶちまけていこうと。


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『勇者イサギの魔王譚』はジャンルとしては『なろう』では珍しくない悪役転生モノに分類される。しかし4人の主人公をここまで完璧に描き切った作品は他に類を見ないだろうと思う。それぞれ全く性格の違う4人が紡いでいく魔王譚は、それぞれに違った魅力があり、おそらく誰か一人には必ず強く感情移入してしまうことになる。そして一人でも大好きなキャラクターがいる作品というものは、得てして忘れることのできない宝物になるもので。ちなみに私は全員の物語に没頭していました。話が進むにつれ明らかになっていく彼らの過去を、彼らという人間を知っていき、気づいたころには目を離せなくなっていた。

この作品のストーリーラインは概ね読者に厳しい。中盤あたりは辛い展開が続きます。かつての仲間同士が争う話などは特に辛いものがある。しかしその分、ラストシーンは燃え上るような熱さを見せてくれる。痺れる程に格好良くて、何度感嘆の息を吐いたか分からない。この作品の作者さん、ワードセンスが卓越しすぎなんですよね。まさに心に響く文章という印象を受ける。エピローグも完璧で、ここまで満足感のある風呂敷の畳み方は久しぶりであった。

そしてこの作品の最大の魅力は、やはり彼らの行動原理であろうと思うのだ。ただ最愛の人のために己を貫き通す彼らの姿は、最高に格好いい。ボーイミーツガール好きな私としてはハーレムものより、こういう一途な愛情に憧れを抱いてしまうもので。12章中盤で緋山愁が放ったこの台詞は、この作品の魅力を如実に表している。

 「不完全な存在として作られた僕たちは、そのいびつな形を埋める片割れをいつか見つけ出すことができる。ノエル、人に生まれた君は、愛を知るべきだ。なによりもそれが、尊いものだ」
<12-7『デモン』より>

 



以下ネタバレ含む


では個人的な感想をば。
とりあえず4人の中で一番好きだったのは廉造でした。もう最初から最後までずっと。不器用で、愚直で、一途で、シスコン。最高じゃないですか。結局彼はイサギに勝つことは出来なかったけども、でもそれでいいんですよね。そんなとこもまた彼の魅力であると私は思うんです。そして彼を語る際に忘れてはならないのが、シルベニア。彼女もこの作品の女性キャラの中で一番好きといっても過言ではない。彼ら二人の不器用すぎる、でも優しさに溢れるコミュニケーションが大好きだった。

あくまでも孤高を貫こうとする廉造の姿にシルベニア自身の姿が重なったんだろうか。シルベニアが彼に懐くまでの過程って直接描かれてはいないんですよね。あの二人旅で色々とあったのでしょうが、何がったのかは間接的に類推することしかできない。でもそういうどこかミステリアスな関係性というのも彼らの魅力の1つなのかもしれない。

最後まで彼らを恋仲にしなかった作者さんの選択は英断だったと思う。恋愛の代わりに描かれた親愛は、素晴らしいものであった。そんな彼らのやり取りは、あまり描写されなかったけれど、それでも極限まで削られながら描かれるそれは本当に良いもので。エピローグでシルベニアが感情を爆発させるシーンは言わずもがな、満身創痍の彼のもとに不機嫌な顔でやってきた彼女が隣に座って治癒魔法をかけ続けるシーンとかもう最高すぎて死ぬかと思った。もどかしい距離感が、やりとりが、何故か心地よい。

彼ら4人の魔王譚の中で最も完成度が高いと思ったのは、緋山愁の物語でした。中盤まではどこか掴めない飄々とした人物だった彼が、後半あれほど化けるとは思いもしなかった。六姫に捕らえられたあたりから徐々に本性を露わにしてきて、そして絶望の底に叩き落される。そこから這い上がる展開が王道ながらやはり燃えてしまうもので。最終章の「大暴れしてやりたい気分なんだ。後先なんて考えず」の台詞には思わずスカッとさせられた。そして彼の魔王譚を最高のものにしたラストシーン。あの幕の閉じ方は尊すぎるでしょう。この瞬間、作中のベストカップルは間違いなくこの二人になった。



誰にでもオススメできる、王道異世界ファンタジー作品。是非。

勇者イサギの魔王譚

【一覧】なろう読書録 - [ 発信所 ]

海外のベストレビューを翻訳する -『秒速5センチメートル』

海外の反応 アニメ

各アニメの海外で最も支持されているレビューを翻訳する。
今回は短めのレビューだったため、2本立てとなっています。

原文はコチラコチラ。(MyAnimeListより)


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Sep 13, 2008
3 of 3 episodes seen
Overall Rating: 10
1960 people found this review helpful

f:id:owlhoot:20170210180853j:plain


秒速5センチメートル』は新海誠が送る二人の幼馴染のラブストーリー。人生に降りかかる困難によって変わりゆく彼らの関係、移ろいゆく感情が克明に描かれる。全三章の短い物語の中で語られるのは、彼らの成長と、そして離れていく互いの距離。

この映画が描くのは、遠く離れてしまった距離が二人の愛をゆっくりと引き裂いていく過程であるが、その根底には様々な美しいテーマが組み込まれている。それは例えば過去を手放すことであったり、自分自身で未来を選択することであったりだ。これらのことは作品の中で明確に示されている訳では無いが、しかしこの作品のラストシーンがこれらのテーマ、そして主人公が最終的に決めたことを象徴しているのは明らかである。

この作品では主人公 Takaki Tohno の成長が辿られる。それぞれの章で描かれるのは子供時代、学生時代、そして大人になった彼の姿。私達はこれらの過程で彼の成長を、そして彼の幼馴染である Akari Shinohara との関係性がどのように変わって行くかを見ることになる。

彼ら、彼女らが見せる感情は信じられないほど美しく、現実的に描かれる。Takaki と Akari の間にある仄かな愛情が、Takaki に対する Kanade の一方通行の切ない懸想が、子供から大人になってしまった彼らの思いが、微に入り細を穿つように描かれる。あなたは見ている間に彼らに感情移入をして、ともに喜び、悲しみ、そして彼らが幸せになることを望むことになるだろう。

アニメーション技術もまた驚異的である。美麗に描かれる背景、照明効果、カメラアングルはこの作品の雰囲気を昇華させている。登場人物の顔がやや詳細に欠けるのは少し気になったが、それを考慮してもこの作品から受け取った視覚的幸せは今までに経験したことないものだった。

音響効果も作品の美しい雰囲気を、効果的に増幅させている。そのBGMは静かで、郷愁的で、憂鬱なものであったが、作品との調和は見事の一言であった。声優の演技も、キャラクターの複雑な感情を絶妙に表現していた。私は日本語版しか見ていないので、英語吹き替え版については何も言えないが、やはり私は日本語版で見る事を薦めたい。

秒速5センチメートル』は、ストーリー、作画、音楽、全てにおいて傑作足りうる作品である。死ぬ前に見る映画を1つだけ選ぶならば、私は間違いなくこの作品を選ぶ。




Jul 17, 2014
3 of 3 episodes seen
Overall Rating: 7
884 people found this review helpful

f:id:owlhoot:20170210180932j:plain


私は、困惑している。
私はこの映画を楽しみたいと思っていた。この作品は息も詰まるような美麗な作画で私の心を奪い、1時間の間ずっと目が離せなくなってしまうのだろうと思っていた。

もしあなたがこの作品を愛しているのなら、以下の私のレビューを不快に思う可能性がある。私が氷のような心を持っていると感じるかもしれないが、私はただ自分の思ったことを書いていく。

私はこの映画を見終わった後、しばらく放心していた。それは感動したからという訳ではなく、ただただ困惑していたからである。ここのレビューでは皆がこの作品が最高だと評し、美しく、それでいて胸を刺すようなメッセージに感動すると絶賛していた。しかし私はそのように思えなかった。あなたは私が愛というものを知らない心無いロボットのような人間だと思うかもしれない。しかしそれは違う。私は恋に落ちたことがある。それがどれだけ胸を苦しめるか知っている。愛する人と、その思いを共有できないと知った時の荒廃した悲しみも知っている。しかし、出来うる限りの努力はしたが、何らかの理由で私はこの映画に感情移入することができなかった。

なぜ私の期待は外れたのだろうか。このレビューを書いている今も、私はそれについて考えている。正直、私は自分自身に失望している。私を除いたほとんどの人が、この映画を純粋に楽しみ、感動しているように見えるからだ。それに対して私は、冷たい石の怪物のようだった。私はこの映画を見る前に必要になると思いティッシュを用意していたのだ。真剣にこの作品を見るために、家族には別の部屋に移動してもらっていたのだ。

私にとって『秒速5センチメートル』が持つ最大の問題は、登場人物に十分な成長が与えられていない点にあると感じた。私は理解している。Takaki と Akari は恋をしていて、彼らは気持ちを共有していた。しかし一緒にはいられなかった。ああ、確かに悲しい出来事であるが、その描写はあまり響かなかった。映画のラストシーンも、私は彼らが互いに巡り合わせが悪く再会することができない関係なのだなとしか感じなかった。

この映画には様々な素晴らしいメッセージが込められている。その1つはどんな人にも、過去から脱却し、それを遠くに置いて、再び前に進まなければならない時が来るというものだ。しかしこのメッセージが素晴らしいことは確かだが、これはこの作品唯一のモノではなく、月並みなメッセージにすぎないこともまた確かである。ストーリーは興味深いが、その過程で登場人物が得たモノを、もう一歩描いてほしかった。私は登場人物である彼らが、彼女らこそが、この作品のメッセージを行動を通して伝えなければならなかったと信じている。

私たちは登場人物に感情移入して、初恋の気持ちや、失恋した時の悲しさを共有することができる。この作品はその点において非常に卓越していて、ほとんどの人は共感してしまうことだろうと思う。そしてこの作品が象徴主義*1に基づいていることも、この作品をより良いものにしている。また作品の幾つかのストーリーラインは洗練されていて、全体的にこの映画はすべての要素において素晴らしいように見えることだろう。残念ながら私はその限りでは無かった。

しかし私は皆に是非この作品を見ることを勧めたい。そこで何か新しいものが得られることは確かであるし、レビュー欄に溢れる10点満点を見るに、あなたがこの作品を楽しめる可能性は十分にあるはずだ。そして私はこの作品について考え続けようと思う。比較的共感しやすい私が、なぜこの作品についてはそうではなかったのかを。もし私の見解が変わったその時は、新たなレビューを書き直すためにここに戻ってこようと思う。『ハウルの動く城』でも言っている通り、心は変わることができ、それは誰にでも可能なことなのだから。

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海外のベストレビューを翻訳する -『電波女と青春男』

海外のベストレビューを翻訳する -『魔法少女まどか☆マギカ:叛逆の物語』 


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*1:主観を強調し,外界の写実的描写よりも内面世界を象徴によって表現する立場。

海外のベストレビューを翻訳する -『電波女と青春男』

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各アニメの海外で最も支持されているレビューを翻訳する。
原文はコチラ。(MyAnimeListより)


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Jul 11, 2011
12 of 12 episodes seen
Overall Rating: 9
513 people found this review helpful

f:id:owlhoot:20170207182010j:plain


当初レビューを書くつもりはなかったが『電波女と青春男』を楽しく見ていた一人として、多くを占める平均以下の評価を払拭する義務があると感じて筆を執った。

Art:
素晴らしい。私は作画にはうるさいほうだが、この点において『電波女と青春男』は間違いなく優れている。カラフルで、鮮やかで、生き生きしている映像。シャフトの色彩設計は本当に卓越していて、それは『秒速5センチメートル』の水準にさえ届きうる。

Soundtrack:
私はこの要素をあまり重要視しないので、普段は省いている。しかし、この作品のどこか憂鬱なピアノ曲などシーンに適合した雰囲気のBGMは特筆すべきものがあった。OP/EDについては言及を避けることにする。

Characters:
多くのレビュアーが述べているように、この作品のキャラクターは奇抜な人間ばかりである。よくあるキャラクターの焼き直しではなく、彼女らに新しいタイプの個性を与える手法は痛快の一言。特に主人公の自転車のカゴに座って空を目指す Erio Touwa が個人的に好きだった。また彼女らの成長はゆっくりであるが、確かに存在する。これは多くのレビュアーが十分に指摘していないことだ。

電波女と青春男』は思春期の男女の日常を描いた作品であるのだから、劇的な成長や、複雑なイベントは存在しないほうが好ましいと私は思う。この漸進的な変化は、私達の現実をそのまま反映させたものであり、ただ彼女らが自らの奇怪な行動を自覚するということだけでも、それは間違いなく有意義な成長であるのだ。

Story:
この物語は爆発的なスタートを切る。1-3話は個別でOVA作品にしてほしいほど良かった。どこか謎めいたプロローグに私の心は鷲掴みにされた。Erio の個性はこれでもかというほどに強調され、人生の意味を哲学的に深く探求していくストーリーも素晴らしい。主人公が Erio の妄想癖に対して拒絶するのは、彼が正当な幸福を求めることに起因している。彼の行動は自身の信念に基づいたもので、それは彼が正常な人間であることを明確にしている。

残念なことに、多くの視聴者はこの作品を"ただのハーレム作品"だと見なしているようだが、ここで私はそうでないことを強調したいと思う。この洞察はやや不安定であるが、いくらかの的は射ていると思う。

第8話*1を例に挙げてみる。この話は Meme の1週間の日常生活を軸に構成されているが、そのエピソードで得られる結論は鋭く、また深淵なものであり、彼女の根底にあるものを垣間見ることが出来た。この物語に無意味なストーリーは存在しない。

初めの1-3話に比べると、残りの4-12話で扱われたテーマがやや日常的であったことは確かである。この作品は視聴者の興味を留めようとするあまりプロットが浅くなっているという批判があるが、私はそこを批判するのは違うと思う。この日常的なストーリーは10代の男女の群像劇を扱うこの作品に良く調和している。

またキャラクターの会話はまるで深海魚のようにグルグル転回していくが、そこには僅かではあるが人生の教訓のようなものが巧みに吹き込まれている。注意を払ってこの作品を視聴すれば、人生経験に基づく啓発的な見識を得ることができるかもしれない。

独特なキャラクター、ゆっくりとした変化、興味深いストーリー、これらこそが『電波女と青春男』の魅力に他ならない。

複雑なプロットを望むのならば、この作品は敬遠することを勧める。しかし、もしあなたがライトで華々しい物語を望むというのなら、私は強くこの作品を薦めたい。また繰り返しになるが、『電波女と青春男』には僅かであるが哲学的なメッセージが込められていて、それはあなたに数奇で思慮深い見識を与えてくれることだろうと思う。


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*1:海で手作りロケットを打ち上げる話です

海外のベストレビューを翻訳する -『魔法少女まどか☆マギカ:叛逆の物語』

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Nov 15, 2013
1 of 1 episodes seen
Overall Rating: 10
1205 people found this review helpful

まどマギ叛逆 感想


満足いく結末を迎えた作品があった。
続きが気になる結末だった作品があった。
そのまま続編が発表されなかった作品があった。
多くのエンディングは記憶に留まることなく消えていった。

この『叛逆の物語』は素晴らしいストーリー・音楽・作画を備えていたが、しかしその結末は徹底的に無情で悪魔のようなものであった。このレビューは出来るだけプロットに触れずに書いていこうと思うが、私が使う用語は間接的にストーリーを示唆しているかもしれないことを事前に断っておく。

Story:10
この物語のモチーフが「聖書の神と悪魔の起源」であることは明白である。この物語は終焉を無限に迎え続ける世界に基づいていて、想像力や欺瞞で補わないことにはその物語を捉えることは難しい。Urobuchi は継ぎ目無いプロットを書くことで有名であるのだが、しかしこの作品が彼の名声を汚したとは言えない。彼の持ち味であるダークな魅力は十二分に発揮されていたからだ。実際に、この物語の結末は遺憾に思うものであったが、それを考慮しても間違いなくこの作品は傑作であり、神から悪魔へ変遷していく描写は凄まじいの一言であった。

Art:10
一見すると子供向けのようなアニメーションに思えるが、よりいっそう狂気が高められ、ぞくぞくするような邪悪を感じさせるような作画は健在である。かつて見識ある漫画家は「悪意をもつ人の顔を描くのは簡単ではない」と述べていた。それを描くためには背景、目、立ち位置、暗さ、表情と様々な事に気を遣う必要があると。そうなると約1時間近くその悪意を描き続けることはどれだけ難しいのだろうか。

それを描くために彼らがこの作品で用いた手法は、些か視聴者を欺くものであったにもかかわらず、その効果は覿面であった。主に色合いやフォントの形によって、それらは見事に表現された。また、ティータイムのシーンは非常に可愛らしいものであったし、バトルシーンのアニメーションについてもスタッフは素晴らしい仕事をしていた。

Sound:10
私はこと音楽に関しては一家言ある。求めるのは"完璧"な瞬間に流れる"完璧"なBGMである。そしてこの作品は見事に応えてくれたのだ。その音楽は私をぞくぞくさせ、その素晴らしいBGMに私の身体は震えた。クラリスが歌うOP曲は、普段通り私たちのミスリードを誘うものである。「これは楽しい魔法少女モノだ!」とこの作品を見た一般人がどうなるかはお察しの通りである。

またエンディングで使われた曲は、何の加工もされていない歌声でありながら、妙な不気味さを持っていて、私に『Judas'kiss』を感じさせるものであった。それは行動自体は美しいが、その内面に仄暗い感情が渦巻いていることを意味していて、この音楽はその役割を完璧に全うしていた。電子機器を通してでも、音楽は感情を届けることができる。初めに可愛い音楽で私達を癒して、そして『Judas'kiss』な音楽で終わりを告げる。音楽がこの作品に貢献したものは大きい。

Character:10
誰もこんなことを期待してはいなかった。
誰もこんなことが起きるなど予想出来なかった。
誰もこんな展開が訪れるとは思いもしなかった。

しかしそれは不可避だった。Urobuchi にとってはいつも通りのことなのだ。この『叛逆の物語』の主人公 Akemi Homura はこの物語によって目覚ましい発展を遂げる。誰も彼女の”変容”に気づくことはなかったが、しかしそれは視聴者である私達にとっては明らかで、避けられないものであった。

また他のメインキャラクターも、壮大な仕事を為していく。ある意味では、彼女らがこの "Akemi Homura" を創造してしまったとも言える。全てのキャラクターを関連させて、それぞれに重要な役割を与えることはかなり困難なことであが、この作品はそれを成し遂げた。そして彼女らは僅かな手がかりを辿りながら、物語の全容を明らかにしていく。

Enjoyment::5
.........
.........
.........
納得できないかもしれないが、まずは私の弁明を聞いてほしい。確かにこれは素晴らしい映画だった。これほどのストーリーはそうそうない。しかしながら、私はこれを全く楽しんでいなかった。事実、もう1度この作品を見ようとは思っていない。

私の心はこの映画によって完膚なきまで砕かれてしまった。もう立ち直れそうにないのだ。実際にその物語は、作画は、音楽は本当に素晴らしかった。キャラクターの発展についてはもう神懸かっている。しかし私はそんな発展を望んでいなかった。それでも、これは個人的な意見であり、こういった展開を好む人ももちろん存在することだろう。

『みんな幸せになるエンディングが最良である』
『良い人はいつまでも良い人のまま』

とりあえずこれらの考えは完全にぶち壊されることになる。しかし私はこの Enhoyment という要素を全体の評価からは除外する。たしかにこの要素はアニメ作品において重要な側面であるが、しかしそれだけがアニメの魅力ではない。私は思うのだが、この作品はおそらく私達を楽しませようとはしていないのではないだろうか。そして、それはこの作品が傑作である理由の1つでもある。

Overall:10
この映画が偉大な作品であることは間違いない。あなたが映画を見に行くことができる地域にいるならば、それは幸せなことである。それでは、より良いアニメ人生を。


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海外のベストレビューを翻訳する -『魔法少女まどか☆マギカ』

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Jul 23, 2013
12 of 12 episodes seen
Overall Rating: 10
1440 people found this review helpful

f:id:owlhoot:20170206010527j:plain


傑作になるために必要なものは何だろうか。『魔法少女まどか☆マギカ』を見たら、あなたはその質問の答えを見つけることができるだろう。

レビューを始める前に断っておくと、私は当初この作品にはあまり期待していなかった。そもそも魔法少女というジャンルに興味を持ったことも無かったので、この作品を見ようとも思っていなかったのだ。しかしある日、とある友人がこの作品を見るように薦めてきた。私は彼が冗談を言ってるのだと思いそれを聞き流した。彼がかつて私に薦めた作品は『未来日記』『デスノート』『サイコパス』といった作品だったのだ。その1か月後、再び友人の強い主張があり、私は重い腰を上げて第1話を見ることにした。丁度良いと思い妹を誘い、2人で視聴を始めた。

先入観を投げ捨て、私は静かに座って最初のエピソードを見た。奇妙な面白さに惹かれ、気づけば第2話、第3話と続けて見ていた。そして第3話が終わった後、私は完全にこの作品の虜になった。そして最終話を見終えた時には、ただただ圧倒されていた。Gen Urobuchi は再びやってくれたのだ。

Story:
主人公 Kaname Madoka はどこにでもいる普通の中学2年生。彼女はとても恥ずかしがり屋だが、家族や友人に愛されている幸せな少女だった。しかし彼女の人生は、謎の黒髪少女に追われている Kyuubei という猫のような生物を救出することで、劇的な変化を遂げていく。Kyuubei は助けられたお礼にとある取引を提案する。それは『何でも1つだけ願いを叶える。しかし代償に魔法少女になってもらう』というものだった。

ネタバレを考慮すると、ストーリーはこれ以上言及することができない。しかしながら、私はこの作品が典型的な魔法少女モノではないことを主張しておかなければならない。これは決して少女向けのアニメではない、非常にダークな物語であるのだ。

真のプロットが明らかになる瞬間は、ひとえに見事で素晴らしい。高まる緊張、重くなる雰囲気、捻じれていく物語。私達はたとえ一時でも気を抜くことができない。

Characters:
この作品に登場するメインキャラクターは、皆可愛らしい少女達だ。しかし彼女たちはストーリーを通して、私達が予想もしない方向へ変じていく。そして私たちは彼女らの過去を知ることで、彼女らの本心を、行動原理を、様々なことを理解することになる。

Art & Sound:
いつも通りのシャフトによって、非常に独特で奇妙なアニメーションが描かれている。キャラクターかなりシンプルに描かれるが、アクションシーンの滑らかな作画は見事である。どこか未来的な舞台も魅力的で、自然の木々と単色の建物のコントラストは非常にすっきりとしている。一方、魔女の領域の混沌とした描写が多くの話題を呼んだことは記憶に新しい。魔女によってそれぞれ異なる世界を持っているので説明することは難しいが、それが魅力的であることは間違いない。

OP曲『Connect』は最初は気づくことができないが、作品のとあるテーマと完璧に適合している。そしてED曲『Magia』は作品の仄暗い性質を如実に表した名曲である。

Overall:
魔法少女まどか☆マギカ』は私が今まで見た中でも最高の作品である。制作陣がこの作品を典型的な魔法少女モノだと思わせた手法はただただ鮮やかであった。キャラクター、作画、音楽はどれも私達を惹きつけるが、やはりこの作品の最大の魅力は間違いなくそのプロットにある。紆余曲折する物語は私達の心を砕き、癒し、砕き、癒し…そして素晴らしい結末に収束してゆくのだ。

PS:表紙で本を判断するのはやめよう!



所感:やや短いですが、他のレビューもほぼ同じ内容なので今回は1本です。やはりこういうプロット重視の作品になるとネタバレ考慮でレビュアー様の踏み込んだ感想が聞けなくなってしまうのが少々残念ですね。次は劇場版:叛逆の方を翻訳します。

海外のベストレビューを翻訳する -『魔法少女まどか☆マギカ:叛逆の物語』

 


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海外のベストレビューを翻訳する -『とらドラ!』

海外のベストレビューを翻訳する -『Charlotte』(酷評注意)


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海外のベストレビューを翻訳する -『とらドラ!』

海外の反応 アニメ

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今回は短めのレビューだったため、2本立てとなっています。

原文はコチラコチラ。(MyAnimeListより)


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Apr 11, 2013
25 of 25 episodes seen
Overall Rating: 10
995 people found this review helpful


私は普段『Soul Eater』『Cowboy Bebop』のようなアクション系のアニメを好んで見ていて、このような青春ラブコメ作品にはあまり知識が無い。こういうジャンルの作品を見るのはこれが3度目であるが、私は本当に『とらドラ!』が好きになってしまった。

第1話を見て興味を惹かれ、第2話でハマり、全25話を見終えるまでぶっ続けで視聴してしまった。途中で止めることができなかった。エピソードが終わるたびに次のエピソードが気になってしまい、それは最終話も同様であった。最終回には満足したが、それでもやはり続きがもっと欲しいと思った。この作品の何が私をこれほど惹きつけたのか。しばらく考えて思いついた答えは『登場人物とストーリーライン』であった。

とらドラ 感想


キャラクターは間違いなくこの作品の素晴らしさに貢献している。各キャラは個性が溢れていてユニークで、それでいて現実的で真実味がある。『とらドラ』には完璧に優れたキャラクターは存在せず、また高慢に威張るような明確な悪役というのも存在しない。時折 tsundere なキャラクターがそのような行動をとることはあるが。これらの事実は、全てのメインキャラクターが自らの弱い部分や、不安定な瞬間を曝け出してくれることで成り立っている。

この作品の最も重要な部分は『多様なキャラクター達が交流の中で織り成していく相互作用』『成長と共に徐々に変化していく彼らの関係』にある。

続いてはストーリーについて。私があまりラブコメ作品を見ない理由は主に、それらの多くのストーリーが陳腐であり展開が予測可能なことにあった。また非現実的な展開が多いことや、自己中心的な悪役が何の考えも無しに主人公達の仲を引き裂こうとする展開も好きではなかった。

しかし『とらドラ』に関してはそんな陳腐なことは起こらない。全てのキャラクターは確固たる自分を持っていて、彼らの行動には強い意思がある。そんな彼らの群像劇は一瞬でも目を離せない。

音楽も『とらドラ』をより素晴らしいものにしている。重要なシーンでここぞとばかりに使われるBGMは鳥肌を引き起こし、涙腺を響かせる。それは何度見ても色褪せることはない。私はこれまでにアニメ以外にも様々な作品を見てきたが、まさかフィクションのキャラクター達にここまで感情を揺さぶられることになるとは夢にも思わなかった。

とらドラ 感想


私はこの作品を見終えた翌日、このレビューを書くために再び最初から視聴しなおしたのだが、やはり初見時にはいくつかの重要なことを見逃していたようだった。一度の視聴で全ての魅力を捉えきれないということが、この作品のストーリーにおける唯一の欠点かもしれない。ただ私としては、一度の視聴で容易に理解できてしまうストーリーより、こういう視聴者の考察を促すようなストーリーの方が好ましいと感じる。

とらドラ』はラブコメ好きだけではなく、あらゆる人に薦めるべき作品である。普段このような作品に触れない私のような男さえも、ここまで熱中してしまったのだから。




Feb 9, 2015
25 of 25 episodes seen
Overall Rating: 7
364 people found this review helpful


私はこの作品のストーリーを、大まかに4つに区切ろうと思う。この作品を見ている間、4回の雰囲気の変化があったのだ。

1st time (1-2話):私は『とらドラ』を初めて見たとき、ライトなコメディ作品のように感じた。複雑なストーリーは無いが、微笑みをもたらしてくれるような作品だと思ったのだ。この区間は春の季節のように期待に満ちたものだった。

2st time (3-14話):少しずつ興味が薄れてきて、若干の退屈を覚えながら視聴していた。ただ私はこの作品を完走することを決めていた。それはひとえに Ami Kawashima に強い興味を抱いたからである。この区間はうだるように熱い夏のようであった。

3rd time (15-24話):ストーリー展開に私の感情は若干不機嫌になったが、それぞれの関係は複雑に絡まっていき、正に作品の”核”と言ってもいいような重厚な区間であった。それは花々が落ちゆく秋の季節のようであったが、しかし美しい景色を為していた。

4th time (最終話):なんてこった、と頭を抱えてしまった。エンディングは些か期待外れなあっけないものであった。それは冬のように寒々した感情を私にもたらした。

以上が私の個人的なストーリーの感想である。

作画と音楽に関しては特に言及することはないが、どれも十分に良いものであった。個人的に2クール目のOPはとても気に入った。

キャラクター造形は見た目も内面もユニークで本当に素晴らしかった。これはサブキャラクターにもいえる。私の推しキャラクターは "Amin" で、彼女の容姿、性格、反応、大人ぶろうとするところ、全てが本当に愛らしかった。

とらドラ 感想


結論。いくらかの間は退屈で、最終回は拍子抜けしたが、それもやはり15話以降のストーリー展開は素晴らしく満足のいくものであった。私はこの作品を7/10点と評したい。


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 今回は酷評レビューとなっております。作品ファンの方はご注意を。


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Sep 26, 2015
13 of 13 episodes seen
Overall Rating: 3
577 people found this review helpful


** このレビューはネタバレを含まない **

以下の設定は諸君らにも馴染み深いものだと思う。
一般人から隔離され、また悲劇的な過去を持つ『特別』な高校生たちが集って組織を作る。彼らは最初は仲良くしないが、時間の経過とともにお互いを知り親密になっていき、最終的には恋仲に至ったりする。世界は彼らに残酷で、彼らの身に降りかかる悲劇は無慈悲で、同情してしまうようなものである。彼らは自身の運命を果たすために犠牲を受け入れねばならない。

あなたはこの設定を聞いて『Angel Beats!』を思い浮かべるかもしれないが、一方それは『Charlotte』だと思う人もいるだろう。それらはどちらも正しい。物語の指向性は双方ほぼ同じであるのだから。

しかし私は『Charlotte』に『Angel Beats!』と似た設定があるということで、この作品を批判するつもりはない。ここで私が是非に物申したいことは、この作品が『Angel Beats!』が孕んでいた問題をもそのまま受け継いでしまったこと、さらにそれを大幅に悪化させてしまったことにある(ご存じだろうが、この2作品の原作者は同一人物である)。ストーリーの矛盾、甚だしいご都合展開、脆弱な世界観、アイデンティティが混乱している登場人物、ああ、これが『Charlotte』だ。

ではこの作品にある最大の問題要素であろうキャラクターから始めていこう。彼らは浅く、一元的で、人格に欠いていると言わざるを得ない。主人公を例に挙げると、彼は最初のエピソードで個性溢れるキャラクターとして説明される。知的で、傲慢で、悪質な人間として描かれている彼の性格は、人間的な成長の可能性を大いに含んでいるものであった。しかし第1話のEDが終わった瞬間、積み上げられた彼のキャラクター像は綺麗さっぱり忘れ去られたようだった。その後も個性豊かだった頃の彼の面影は消え去ってしまい、彼はまるで Otonashi *1のようになってしまった。無個性で、どこにでもいるありきたりな主人公のように。

Charlotte 感想


またこのアニメの『ロマンス要素』がどれだけ恐ろしいかを話していこうと思う。主人公が想いを寄せる Nao というヒロインがいる。しかし本編において彼らの交流は些か不足しがちであり、共に少しずつ愛を育んでいく描写は無く、突然私達は彼らが愛し合っていることを告げられるのだ。いやいやいや、それは何か違うのではないか。彼らはどんな互いの仲を発展させるような出来事を共有しただろうか。私は Nao がモブキャラに暴力的に殴られているのを目撃した主人公が、何もせずそこを立ち去ったシーンさえ思い出すことができる。告白シーンも唐突なものであり、他の登場人物も「彼女がそんな想いを抱いていたとは全く思わなかった」と感じたようで、どこか驚いて混乱している様子をしていた。言わずもがな、私も同じような思いを抱いた。

ストーリーについてはツッコミどころが多すぎるので簡易的に述べる。この作品はストーリーを作る際の禁忌である『Deus ex machina *2』『plotholes *3』『asspulls *4』『you name it *5』の全てを犯している。

第2の問題は非常に一貫性の無い雰囲気だ。コメディと悲劇がごちゃ混ぜになっており、それは私達を混乱させる。これは最近のアニメ作品全体に浸透している問題であるが、もしシリアスでドラマチックなシーンを真剣に撮りたいならば、子供染みたコメディを先行させるのを即刻止めるべきである。それは人が死ぬシーンにさえ影響を残してしまう。この忌むべき様式はアニメから消える必要がある。

最後に私が述べたいのは、ラストのとんでもない急展開についてだ。あなたは第13話を見るだけで、その恐ろしさを理解することができる。真剣にこのような行いを反面教師にして、彼らはこの過ちを繰り返さないようにする必要があるだろう。私はこれまでに出来るだけ『Angel Beats!』に言及しないように進行してきたが、上述したような問題はそのまま『Angel Beats!』にも含まれていて、この数年間で脚本家の能力が全く変わることがなかったのは明白である。

結論として『Charlotte』は『Angel Beats!』の悪いところだけをより強化した作品であった。あなたがこの作品を見るとき、それは良きにしろ悪きにしろ驚きに溢れることだろう。ただ作画と音楽は素晴らしいので、ストーリーをあまり気にしない人は見てみるといいかもしれない。

Charlotte 感想




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*1:Angel Beatsの主人公

*2:いわゆる「どんでん返し」に分類される手法。物語の流れ上、脈絡の薄い存在が突如現れ、これまでの混乱を強制的に決めて終結させてしまう筋書きをいう。物語を意外な結末に向ける手法であるが、伏線が小さくやや強引な場合も多いため、あまり良い技法ではないとされる。

*3:ストーリー上にある矛盾点

*4:作者に都合のいいように急遽でっち上げられたご都合主義的展開・設定のこと

*5:なんでもできる主人公