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幸せで溺死してしまう


今冬に『インスタント・メサイア』書籍化決定!!!

半年ぶりに『幻想再帰のアリュージョニスト』更新!!!

月初めにラピスの心臓の更新が再開されただけで幸せマックス状態だったのに、もうなんか嬉しいことが起きすぎて頭が爆発しそうです。あああ~~幸せで溺死する。

もしこれでウロボロスレコードの更新も再開されたら気絶してしまうかもしれない。


インスタント・メサイア
幻想再帰のアリュージョニスト

 


罪悪感とその救済 -『宿屋主人乃気苦労日記』

なろう備忘録第40弾。

あらすじ:
個性あふれる従業員たちの、重なり合う事情や思惑。和洋の魔術が入り乱れ、剣戟と拳が鎬を削る戦い。そんなさまざまな問題に立ち向かう主人は、そのたびに頭と体を酷使し、なおも前に進んでいく……だが一番の問題は、客の少なさである。 
――それは不思議な宿屋主人の、日々徒然なる気苦労日記。

 

「誰も傷つけたくない、とは言うがね、それはどうやっても上手くいきっこないのだよ姫さん。人間、誰しも誰かに迷惑をかけ、傷つけあって生きている。だからと言って動くことを止めれば、周りの人々はそれを気遣きづかって、やはり心が傷つく」

「誰かとつながりを持ったら誰だって責任を持つのさ。それは逃れる必要のない責任だがね。誰だって持っているのだから、それぞれがそれぞれに少しずつ働きかけて、互いに併あわせ持てば良い」

-----十七頁目『押し潰されそうな、自己の罪。(自己不信)』



60万字完結。中編ファンタジー。
様々な闇を抱えた訳アリな従業員達が、生きにくい世の中で、共に支え合い、時には傷付け合いながら、それでも懸命に前を向こうと、生きていこうと頑張る物語。

作品の主題は『何のために生きるのか』であろうか。まあ勿論この問いに普遍的な答えは無い訳で、実際に描かれる登場人物たちの出す答えも若干似てはいるが、皆違うもので。その過程の心理描写は見事であり、この物語の登場人物には確かな芯が存在する。

主にこの作品のストーリーの起点になるのは『罪悪感』、または『復讐心』である。自分が嫌いで、大嫌いで、罪悪感に押しつぶされそうになる彼女。復讐心でしか心の安寧が保たれなくなってしまった彼。救いが与えられる者もいるが、救いも無しに死んでいく者もいる。割と残酷なストーリーではあるが、それはある意味正しいもので。

物語構成の点ではやや荒削りに感じるところもあったけれども、登場人物の人となり、そして彼らの"言葉"が良いのだ。間違いなく良い作品であったと、そう感じます。

 宿屋主人乃気苦労日記。
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ライトな純愛ホラー -『名前のない怪物』

なろう備忘録第39弾。

あらすじ: 深夜。部屋に響く物音で目を覚ました僕は恐ろしい〝脚〟に遭遇する。以来、姿を見せずに部屋で存在だけを主張するそいつは、まるで包囲網でも敷くかのように日常を侵食し、遂に僕の目の前に姿を現した。その正体は、あまりにも美しい、『名前のない怪物』だった。

 
僕はその怪物に恐怖し、魅了され、そして捕らえられた――。
-----第6話『囚われの夜』

「何処に行くの?」
「何処だって行けるさ。さぁ、一緒に行こうか。名前のない怪物よ」
-----最終話『永い前日譚の行方』



『恐怖と謎とエロスが融合した、サスペンスホラー』と銘打たれた純愛モノ。
本編50万字完結。現在続章連載中。第五回ネット小説大賞を受賞したとか何とか。

「恋愛」「能力バトル」「SF」「コメディ」「アクション」とりあえず全部突っ込んじまえ!みたいな感じが『なろう』っぽくて好きです。色々な要素を詰め込みすぎて全体的にとっ散らかっている印象を受けてしまったけども、まあ実際読んでて面白かったです。ホラーってよりかは『未知との遭遇』って感じでしたが。或いは異類婚姻譚だろうか。

敵サイドの登場人物の大半が腹の中にどす黒いモノを持っている狂人なので、読むのキツいなあって場面は多々あった。ただ、主人公と怪物ちゃんのイチャコラが清涼剤としてそれらの不快感を打ち消してくれるので、上手いこと作ってあると思いました。

つまりは黒スト装備の名前のない怪物ちゃんが最高に可愛いってことです。

面白い作品ですよ。是非是非。

 名前のない怪物

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宇宙人×ボーイミーツガール -『銀河の生きもの係』

なろう備忘録第38弾。

あらすじ: ある日突然、史緒の前に現れた転校生・高遠洸。顔良し、頭良し、スポーツ万能。でも、宇宙からの侵略者(自称)。ほとんど事件の起きない、けれどどこか不思議で不条理な日常の話。


「それがまさに、運命、というやつじゃないか」
-----第2話『運命の扉はスチール製』

 「だってさ、塚原さんは、僕の、召使みたいなもんだから」
史緒はその場にひっくり返りそうになった。
-----第11話『五年三組学級会の功罪』



27万文字完結。SF風味なボーイミーツガールもの。
SF風味といってもメインキャラの少年が宇宙人っていう設定以外にSF要素は殆ど無いです。

トーリーはTHE・少女漫画って感じの王道。テンプレって意味では無く、誰でも楽しめるという意味での王道です。小→中→高とダレることなくテンポ良く進んでいくので心地良い。文章も読みやすかった。

割と登場人物は多いですが、あくまで焦点は二人にあてられている。その価値観が違いすぎる二人が、ぎゃーぎゃーと喧嘩しながらも少しずつ距離を縮めていく過程が良いです。やれやれ系の女主人公が気づかぬうちに彼に絆されていくのが最高でした。

多作な作家さんなので他の作品も読んでみよう。

 銀河の生きもの係
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物語を破壊する個性 -『猫とワルツを』

なろう備忘録第37弾。

あらすじ:エミーリア騎士団で新しく発足することになった第12旅団。傭兵上がりの副長さんが、上官のボクっ娘にツンデられたりヤンデられたりしながらも必死で部隊を運営する面白くも、涙なしでは語れないお話。

 
強すぎる愛は、治らぬ病に似ている。
本来は健やかであるべきはずのものが、かえってそれを危険なものにしてしまう。
-----第5話『猫目石


死に行く故郷が焼け落ちる様に安堵を覚えた自分が、この愛を成就させるのは、地獄よりほかにありえない。
-----第10話『猫が嗤うとき』



23万文字完結。コンパクトに纏まった異色の異世界ファンタジー。
個性が強すぎる4人のヤンデレヒロインを抱えながら、ハーレムに頼らずにストーリーを畳み切った手腕に感服。目が死んでる状態がデフォみたいな主人公も好きだった。

個人的推しヒロインは エルザ≧アキラ≧エル>>>ジーク って感じです。

作者さん曰く。

ヤンデレはストーリーを破壊する個性だと思っています。
その個性にどんなストーリーを乗せるか。
弱いストーリーだとキャラが死に、ヤンデレが暴走するとストーリーが無茶苦茶になります。


最近は『黒の魔王』やら『氷の滅幕』やらヤンデレものばっか読んでる気がしますが、やっぱりこのへんのバランスをとるのは難しいんだろうなあと改めて思います。

良い作品でした。
 

 猫とワルツを
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殺戮に彩られた百合の花 -『氷の滅幕』

なろう備忘録第36弾。

あらすじ:
少女は血にまみれ、凶刃を振るい、命を搾取する。愛する人のために強さを求めた彼女は、人の域を越えた力を身につけ、精神の惨状へと踏み込んでしまう。


自分でも制御できない程の愛で狂ってしまった少女。
最愛の人を奪われた少女は、絶望し、泣き叫び、そして復讐を誓った。

少女は力を得るために血を啜った。
肉を食むたびに心は病んだ。
命を摘むたびに人から外れていった。

これは、常識、倫理、道徳観を失い、愛欲のみが残ってしまった少女の物語。



こんばんは。ここ1週間はもうずっとこの作品を読み耽ってました。
5章まで読み終えたところでこの記事を書いているのですが、なんというかもう衝撃の展開すぎてほぼ茫然自失の体になっている。ネタバレになるので詳しく書けないのが残念ですが、とにかくとんでもない作品に出会ってしまったという感じです。

作者さん曰くこの作品のテーマの1つは『狂気』であるらしいが、その描写力が本当に凄かった。一見普通のように見えるが、実際には致命的に思考回路がおかしくなっている狂人の描き方が卓越している。少しずつ、徐々に徐々に、その狂気が周囲に伝染していく様も良い感じに薄気味悪くてもう最高でした。

またこの作品のもう一つの特徴が、ガールズラブ要素が多分に含まれているところ。露骨な描写は少ないのですが、それでもかなり踏み込んで描かれるので、ここは結構人を選ぶかもしれません。メインキャラの一人が夜のテクニックで周囲の女性を落としまくって百合ハーレム築いたりしちゃいますからね…。

あと特筆すべきところは、少女の周囲の人物がとにかく報われないところだろうか。盲愛にとりつかれた少女は一貫してただ一人の女性しか眼中になく、頭もおかしくなってるので、彼女の仲間達はその狂気に引きずられて道を踏み外していく。正直彼らがこの先幸せになる未来が見えない。しかしこのままバッドエンドでも良いのではと思ってしまうほど『悲劇』としてのストーリー展開は申し分ない。

舞台設定もまた魅力的。『一二国記』を彷彿とさせる、16人の魔王が各地に君臨している世界。親交を深めたり、諍いあったりしている彼らの群像劇が読んでいてとにかく面白い。思わず親しみを覚えてしまうような交流をしているかと思えば、人間の領地に踏み入り魔王一人で数万を越える圧倒的な殺戮を行ったりする。

この物語に登場する派閥は神族・魔族・人間の3つ。各々が自らの正義を持っており、信念に従って行動しているので人間族が魔族に蹂躙されても特に胸糞悪くなることもなかった。というか魔王陣の方が人間側に比べて割かしまともなので、魔族側で物語を読んでしまう人も多いのではなかろうか。私もそうだった。

とまあこんな感じの小説です。ネタバレ気を付けて書いたのでよく分からないとこもあるかもですが、少しでも気になったら是非読んでみてほしいです。紛うことなき傑作なので。

氷の滅慕 - 小説家になろう


以下、ネタバレありの備忘録兼、雑感。
好きなシーンを抜粋しつつ感想やら書いていきます。


 

――子供はうっとうしい


それが何故……こうなった?
今の白蓮は、こちらを見上げて来るアルフラの、潤んだ瞳にたじろいでいる。今にもこぼれ落ちそうな涙に、心が痛む。

――私は弱くなった

<氷の滅慕 - アルフラ攻略 そして瞬殺>


なんとなく拾っただけのアルフラとの交流によって次第に絆されていく白蓮さん。得てして溶けかけの氷は脆くなるもので。

近い未来に離れ離れになってしまうことを伝えなければならないのに彼女を慮って言い出せなかったり、涙目のアルフラに庇護欲をくすぐられていつもより多く血をあげちゃう白蓮さん可愛いんじゃ…。

1章終盤の行くところまで行ってしまった彼女らの関係性も堪らん。互いに相手しか見えていない視野狭窄に陥って、どろどろに依存しあう感じ。百合と共依存の親和性。

 

 

人の温もりを知り、溺れそうな程の愛情を注がれた白蓮の心は、ふたたび凍りつく事を拒み、無くした物を取り戻そうと足掻いていた。

<氷の滅慕 - さらなる進化>


アルフラと引き離された淋しさを紛らわすために、周りの少女や、果てには女魔王にまで手を出し始める白蓮さん。その美貌と房中術で女たちを手籠めにしていくの最高です。

灰塚もウルスラも魅月も傾国ちゃんも好きすぎる。時折はいる白蓮ハーレムの日常こぼれ話みたいなのがすごい好きだった。ノクタに灰塚×傾国ちゃんがきゃんきゃんする話が載ってるんですが(最高でした)、他の組み合わせも是非読んでみたい……。

みるふぃーゆ騒動は滅茶苦茶笑った。傾国ちゃん本当良いキャラしてます。

 

 

 「あぁ……白蓮、やっと会えたね」

還元されない愛情。抑圧された想念。――無意識領域下の強い思慕は攻性に転じる。

<氷の滅慕 - オウマガトキマゾクノチニクルフアルフラ>


個人的に好きな一文。アルフラの異常性のようなものが浮き彫りになっていて妙に心に残った。「強い思慕が攻性に転じる」のインパクトが凄い。

5章の白蓮とアルフラの再会シーンは色々と惹きこまれた。感情が暴発し二人の周りのあらゆるものを凍り付くし、たった二人だけの世界で。言葉を交わすほどにどうしようもなくすれ違っていく様が、怪物に成れ果てたアルフラの慟哭が、あまりにも辛くて、それでいてゾクゾクする。

 

 

 「あたしは怖いよ、アルフラちゃん。――あたしは、死ぬのが怖い。アルフラちゃんが死んじまうのが、怖いよ……」

シグナムの視線の先では、地に爪を立て、ようやく体を起こしたアルフラが、暗い眼差まなざしで彼女を見返していた。

「……そんなことより……あたしは白蓮と会えないことのほうが、ずっとつらい……」

<氷の滅慕 - 強く儚いもの>


シグナムの必至な言葉を「そんなことより」と一蹴するアルフラが好き。ここで心が折れてシグナムの手を取るアルフラなんか見たくない。結局アルフラは始終白蓮しか見ていなくて、周りの仲間たちとの間には埋められないほどの溝が出来ていた訳で。これまで彼らが体を張って、信念を押し曲げてまでアルフラに捧げた献身は、まったくもって微塵も彼女に届いていなかった。それが如実に現れたシーンだと思います。シグナムさんマジ報われない……。

この後のアルフラとフレインが抱擁するシーンも、どうしようもないほどに歪んでいて、最高に素晴らしかった。個人的にはこの回が一番好きな話かもしれない。

 

 

通常の感性を持つ者が踏み込めば、嘔吐しかねないほどの嫌悪を催すその部屋で、アルフラは黙々と食事を貪むさぼる。人はそれを鬼畜の所業だと非難するだろう。

おのれの欲望のために人を殺し、あまつさえその血を啜っているのだ。確かに唾棄だきすべき行いである。しかしそれは、人間の倫理や良識といったものに照らし合わせた場合だ。それらは円滑な社会を形成するために人が作り上げたものであって、真理ではない。

みずからの糧として他者を補食し、生き抜く。それは個の生物として正しい。生命のあるべき姿と言えよう。

人の世の善悪を越えたところに、アルフラは立っている。

<氷の滅慕 - 善悪の彼岸 アルフラの最善>

 
落ちるところまで落ちてしまったアルフラ。なんというかもう、ただただ圧倒される。




とりあえずこのへんで。また追記するかもしれない。

 【一覧】なろう備忘録 - [ 発信所 ]

 

優しさと原風景 -『きみは小さな居候』

なろう備忘録第35弾。

あらすじ:
久し振りに訪れた父方の田舎。そこで、座敷わらしを目撃してしまった主人公。ちょっと世話を焼いたら、見た目、小学校低学年女児な座敷わらしに妙に懐かれてしまい…。

 
大学生の男と座敷わらしの、ほのぼの日常モノ。
読む前は彼らののんびりな日常風景を描くだけの作品かと思っていたが、実際に読んでみると作中のヒューマンドラマな要素が存外しっかりしていて、とても惹きこまれた。もちろんゆる~い日常風景もたくさん描かれていて、彼らのほんの何気ない会話にも癒されました。

それまで真理は、東京の街なかに自然なんかないと思っていた。
街路樹の根本に咲く、タンポポの花に目を留めることなど、今までなかったのだ。
わらしが「春が来たね」と笑って、真理は初めて春を実感したのだ。
< わらしとカッパと夏の空 1話 >

個人的に一番ぐっときたのがここ。何か……上手く言えないけども、とても良いのだ。
この作品の魅力が如実に現れた一文だと思います。


改めて良い作品でした。コメント欄で薦めてくれた方に感謝。

きみは小さな居候
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