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天に轟くは闘いの宴 - 書評『終天の異世界と拳撃の騎士』

なろう備忘録第44弾。

あらすじ:
長年打ち込んできた空手に挫折しかけ、無気力な日々を過ごす高校生の少年・有海流護。ある初夏の晩、あれこれ思い悩む流護は、疎遠気味になっていた幼なじみの少女を夏祭りに誘おうと思い立つ。そうして携帯電話のメールを送り終えた彼が顔を上げると、周囲の景色が見覚えのない草原へと変化していた――。迷い込んだそこは、剣と魔法と魔物に彩られたファンタジー世界。様々な人との出会い、様々な敵との戦い。剣と魔法の飛び交う過酷な異世界を、流護は己が拳で切り抜けてゆく。その世界へ招かれた理由を、知らないままに。――拳に全てを懸ける現代日本の少年と、誇り高き異世界の少女騎士。きっと許されない出会いを果たしてしまった二人の、物語。


なってやる。
どこにも属さない、唯一絶対。最強の存在に。
だから……いつかまた、逢おう。
オレは、待ってるから。
-----5章:152話『紅の季節・後編』 

「何より……、桜枝里が見とるんでな。やはり、是が非でも負けられんのう」
「俺だってベル子が見てんだ。負けられねーって」
互い、傷だらけの顔で笑い合って。身構える。
-----7章:261話.『負けられない思いの果てに』

 



お久しぶりです。1カ月ぶりくらいのなろう備忘録です。こんなに間空いたの初めてな気がする。最近は長編を色々10作品くらい並行して読み漁ってて、最後まで読み終える前に他の作品に浮気してしまって…みたいなのを繰り返してました。

そんで一週間前くらいに出会ったのがこの作品『終天の異世界と拳撃の騎士』。全220万文字。正統派格闘ファンタジー。前章が完結済、現在後章書きため中のこと。

正直1~2章を読んでる時は、普通の読みやすい00年代のバトルものって感じだったんですけれども、3章で思いっきり爆発しました。リューゴVSディノの燃え上るような熱いバトルで完全にこの作品の虜になった。もうほんと凄いんですこれ。丁寧に二人のバックボーンを積み上げて、どちらにも感情移入させて、まるで主人公VS裏主人公かのような様相を呈してきて、プライドを、意思を、ぶつけ合う、絶対に負けられない男と男の喧嘩なんですよ。これは。

そしてこの作品、こっからさらに面白くなっていくんです。本当に最後まで予想を超えてくるのだ。バトルものとしての最高潮は恐らくこの作品を読んだ殆どの人が7章の天轟闘宴編と答えるだろうけど(もちろん私も)、この作品の本領は実は世界観の構築や様々な設定の数々なのではないかと思う。

まず主人公が転生した異世界が色々とおかしい。剣と魔法のファンタジー世界であるのに、日本語が公用語となっている。自動で翻訳されてるのかと思いきや、なぜか意味が通じない単語が多数ある。例えば、月。そして旧遺跡で見つかる英語で書かれた論文…。1日の周期も"なぜか"ほとんど一致している。そしておそらく物語の鍵となるであろう、重力が弱いという設定。

前章ラストまで読んだら、本当にこの作品の伏線やストーリー構成が完璧に組まれていることに気づくことが出来る。ただただ感嘆です。

そして最後に、私がこの作品を薦めるにあたって推していきたいのは、この作品が『家族』というのを真摯に真っ向から描いてくれているところなのだ。親子愛、兄妹愛、姉妹愛………この作品の描く家族愛が本当に好きなんです。5章のディノ兄妹過去編、7章のベル兄妹回想、9章の有海親子の話は、もうどうしようもないほど泣いてしまった。目頭にじわってくる感じのやつじゃなくて、本当にボロボロと泣いてしまうやつ。久々にWEB小説を読んで泣いた。

~

と、こんな感じの作品です。もう本当に面白いので、バトル展開が好きな方は絶対に読んでほしい。以下はいつものここが好きここが最高!って感じのチラ裏感想文です。

終天の異世界と拳撃の騎士  - 小説家になろう

 


 
行き当たりばったりでだらだら書いてきます。ネタバレ全開なのでご注意を。



◆1.  主人公、アリウミリューゴという男

まずこの作品の何が好きかって、主人公のストイックさ、なんですよ。強くなるため、強いままでいるための鍛錬は欠かさないし、異世界に来てもそれは変わらない。現代日本で手痛い敗北を味わっているので自分の強さに天狗になったりもしない。ここです。この主人公、異世界に来てから結構色々活躍して、まあどんどん成り上がっていくんですけど、全然、驕らない。自分より下のものを、見下さない

こういう風に書いてると、なんだかスカした人物に見えるかもしれないけど、違うのだ。褒められたら素直に喜ぶし、煽られたら静かに怒りを燃やす。この主人公は、普通な、等身大な、感情移入するには最適の完璧な主人公なのだ。こういう主人公って、そうそういるもんじゃないですよ。そんでまあいざバトルとなると、闘争心むき出しになるところがまた良いんです。

恋愛関係は奥手かと思いきや、内心は結構煩悩まみれだったり(このへんの描写がライトなのも厭らしさが無くて良い)普通にいきなりすぱっと告白しちゃったりするしと、このへんも好印象。この作品、恋愛要素も最高なんです。次、ヒロインについて!


◆2.  絶妙なヒロインの配置

さて、なろう小説において欠かせない、というか殆どの作品において過剰なほど配置されがちなヒロインについてです。この作品も例によって主人公に好意を抱く少女はたーくさん出てきます。でもハーレム系特有の厭らしさは全く感じない。何故だろう。

まず1つに主人公の心の中で、ただ一人のメインヒロインが決まっているという点。こういう主人公のハーレム系は大体許容できるような気がする。この前提があると、出番の差や扱いの差があまり気にならなくなるんですよね実際。そんでこの作品のメインヒロインであるベル子さんは本当完膚なきまでの良い娘なのでもう文句のつけどころがない。

そしてもう一つに、恋愛感情と親愛感情の線引き。これができてる作品は絶対的に良作が多いと思う。というかこのことは過去記事で何度も触れてるので割愛。

至高の愛はヤンデレにならざるを得ない - 書評『黒の魔王』 - [ 発信所 ]

恋愛と親愛の線引き -『(略)惰眠をむさぼるまで』 - [ 発信所 ]


サブヒロインの皆さんも本当に皆個性的で最高に可愛い。

まずミア氏。背がちっちゃいいつも元気な娘。そして親に売られた可哀想な子でもある。いつも明るくて元気だけど、心には深いトラウマを負っていて。この不安定で、危うい感じ…。良い…。ミアとリューゴが会って間もないあたりで、ミアの雰囲気が一変して脅すような口調でリューゴに忠告するシーンあったじゃないですか。実はあれがミア本来の性格で、いつもの調子は演技だった、みたいな展開あったら完全に俺得なんですけど、多分無さそう。うん。どうやら書籍3巻の書き下ろし部分にミア視点の話があるらしいので、絶対に読まなくては。



クレア氏も好きなんですよね。男嫌いなツンツン系。この子の何が最高かって、結局最後まで殆どリューゴにデレなかったところ!なんですよ! 大体の作品ではこういう感じの子ってチョロインだったりするんですよね。うん、こういう子がデレると絶対に可愛いんですよね、ギャップ萌えってやつです。でもクレア氏はデレない。まあ色々あって蛇蝎の如く嫌う→まあ認めなくもない…くらいの好感度になりましたが、でもデレない。

この子には、姉の背中しか見えていないのだ。姉に置いていかれないために、ただただ修練を続ける。8章・278話『研鑽する神の盾』のクレアが本当に好きなんだ。

 ――もっと強く、ならなければ。

ただひたすらに、その思いを胸へと秘める。
否、秘めるだけではだめだ。自らを、確実に磨き上げなくては。

もう主人公のような風格ですよ。というかこの子、改めて考えてみると全然ヒロイン枠では無いのでは…。ただベル姉が好意を抱いているリューゴに興味を持っているだけで。いやいや後章でデレるかも…。うーむ…。デレるクレア氏が見たいような見たくないような。

あと言及したいのが雪崎桜枝里さん。この子を安易にリューゴに惚れさせず、ダイゴスとくっつけたの、本当に良い。サブキャラ同士がくっつく展開が本当に好き。





とりあえずここらで一旦。しかし、続きが気になる。ディノはどうなった…。彩花はどうなる…。桐畑良造は…。流石にこのままエタは無いだろうけど、かなり待つことになりそう。でもまあなろう読みなので待つのには慣れている。1年でも2年でも待ちますとも!

最後に、コメント欄でこの作品を薦めてくださったid:Ryota2007氏に感謝を m(_ _)m

【一覧】なろう備忘録 - [ 発信所 ]

 

【2017年版】小説家になろうのオススメ作品20選

お久しぶりです。今回の記事は、

【おすすめ】小説家になろう50選!マイナー・有名作品まとめて紹介する - [ 発信所 ]

の続編となります。今回も面白い作品を取り揃えました! 参考になれば幸いです。

  • 完結済、またはキリの良いところまで連載してある作品のみ。
  • ストックがたまり次第、随時更新。

 

▼ 合わせて読みたい

これから読む予定の面白そうな作品メモ まとめ [現在49作品]

エロい方のなろう小説、ノクターンノベルズのおすすめ作品14選

amazon高評価のおすすめラノベ12作品を紹介する


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タイトル オススメ度 文字数
銀河の生きもの係 ★★★★
(4.2)
275,421
(完結)

ある日突然、史緒の前に現れた転校生・高遠洸。顔良し、頭良し、スポーツ万能。でも、宇宙からの侵略者(自称)。

王道ボーイミーツガール。小中高と進むごとに少しずつ変遷していく彼と彼女の関係性が良い。普通の少女と自称宇宙人という価値観の違いすぎる二人が織り成す、良作ラブコメ

 宇宙人×ボーイミーツガール -『銀河の生きもの係』

 

鬼人幻燈抄 ★★★★★
(5.0)
2,122,368
(完結)

惨劇の果てに鬼に成り果てた主人公が、江戸から平成へ長い時を旅する物語。最愛の人を殺した実妹への憎悪に囚われながら、それでも妹への情は捨てきれず。自分はどうすればいいのか。長い旅の中で彼は自分と向き合っていく。

ストーリー構成の妙。心に染み入る言葉選び。一本芯の通った登場人物。代々受け継がれていく意思。長い時を経ても繋がっていく想い。自信を持って薦められる正真正銘の傑作。

 君想うこの心は、きっと花を巡る -『鬼人幻燈抄』

 

うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない  ★★★★
(4.3)
733,534
(完結)

罪人の烙印を押された魔族の少女を拾った男の親バカ全開子育て日誌、或いは異類婚姻譚

ヒロインの境遇とかは結構重くてシリアスなのだけども、主人公とのやり取りは甘々のベタ甘。うちの娘が一番可愛いだとか、可愛いは正義を地で行く感じが良いです。癒されます。あと書籍版の絵がすごい綺麗。

 

グラジオラスは曲がらない ★★★★
(4.2)
1,198,099
(連載中)

「ただの人が、地球から召喚されたあたしに敵うわけないのに」
「気まぐれに力を与えられて、それに酔ってるような連中に、負けて、られるか」

チート持ちの転生者 VS 現地人の主人公という構図。何度となく挫折を乗り越え成長していく過程。それも地道な鍛錬の繰り返しで強くなるのが良い。そして下手に転生者たちを噛ませ犬にせずに、強大な敵として描いているところがこの作品の魅力だと感じる。

 

リライト・ライト・ラスト・トライ ★★★★+
 (4.6)
915,870
(完結)

ただ一人の少年を守るためにループを繰り返した少女のラスト・トライを描く異世界ファンタジー。基本的に描かれるのは最後の周回のみ。精神を摩耗させた周回の果てに彼女は何を掴むのか。

ループ能力の負の要素』を前面に押し出した徹底的にシリアスなストーリー展開ですが、少し甘い程度のボーイミーツガール要素で上手く緩和されいます。

周回の果てに -『リライト・ライト・ラスト・トライ』

 

ファンタジーにおける名探偵の必要性 ★★★★★
(4.8)
729,523
(完結)

「さて、賢明なる読者諸君には既にこの事件の真相がお分かりだとは思うが、ここで身の程知らずにも読者諸君に挑戦をしてみたい」

異世界転生×本格推理モノ。各章の出題編で前提条件・状況証拠・関係者の証言を示した後、読者に挑戦状が突きつけられる。君は真実を暴けるかと。勿論ノックスの十戒準拠。

作品としての完成度もとても高く、特にプロットの作りこみが本当に素晴らしい。ジャンルで敬遠されがちですが、是非読んでみてほしい一作。解答編は「あーっ!」の連発でした。

 

レイロアの司祭さま~はぐれ司祭のコツコツ冒険譚~ ★★★+
(3.9)
458,378
(連載中)

レベルの上がりが極端に遅いため固定PTが組めない主人公が、便利屋として多くの人との一期一会を積み重ねながら色々と頑張る話。使い魔のスケルトンとゴーストが妙に可愛い。

作品としてはストレスフリーなオムニバス形式の日常モノという感じ。まったり楽しむ系

 

魔王殺しの竜騎士 ★★★★
(4.2)
155,814
(完結)

38年の時を経て転生した元勇者が竜に乗って無双する話。

作中の架空競技『ドラゴンレーシング』がとにかく面白い。愛情を込めて竜を育てた人達と、その竜に乗って飛翔する主人公の熱い思いが、歓声を空耳するほどの熱狂を生み出していく。チート無しの真っ当な俺tueee系は読んでて本当に気持ち良いです。

 

打ち砕くロッカ ★★★★
(4.2)
1,594,440
(連載中)

異能持ちが集まる学校に入学することになった岩属性の少女・ロッカ。彼女の能力は石の生成、ただそれだけ。そんな彼女が配属された場所は、所謂落ちこぼれクラスであった。

馬鹿にされ、蔑まれ、それでもプライドだけは捨てずに我を通す。これは一人の少女が、立ちはだかる高い壁を、偏見を、常識を、打ち砕いていく物語。クラスメイト達も皆それぞれ良いキャラしてます。本編は完結してて、現在続章連載中。

 

薬屋のひとりごと ★★★★
(4.1)
671,979
(連載中)

稀代の毒好き娘は、今日も後宮内を駆け回る。

中華風の雰囲気が素敵な、まだ幽霊の存在がまことしやかに語られ、薬と呪術が並んでいるような時代の物語。そこで元薬師の下女が色んな事件を解決したり、宦官とラブコメしそうでしないお話。

少女小説、医療ミステリ、後宮内の群像劇、身分違いの恋愛モノ…いまいちカテゴライズしにくいですが、まあそんな感じの作品です。短編連作なのでサクッと読めていいですよ~。

 

野生の電子レンジが襲ってくる世界にきました
-天才ハッカーのハッキング無双ライフ-
★★★★
(4.1)
585,654
(完結)

タイトルそのまま。冷凍睡眠から覚めたらトンデモ世界になっていた。

なんちゃって空想科学で基本はコメディな雰囲気。文明崩壊後、明後日の方向に進化してしまった世界でロボット達と戯れつつ生活していく話。ポストアポカリプス系っぽいけども、人類は細々と生存してる模様。

クソコミュ障の主人公とクールで皮肉屋なアンドロイドちゃんの掛け合いが好き。

 

黒姫の魔導書 ★★★★
(4.0)
1,115,407
(完結)

魔導書に転生してしまった主人公が落ちこぼれの少女に拾われるところから物語は始まる。

その魔導書を使って破竹の勢いで下剋上していく、という話ではない。主人公はただ傍に寄り添い、助言をするだけ。あくまで少女自身が自らの力で成長していく。そんな師弟のような関係がどこか心地良い。派手なストーリーという訳では無いが、根底には優しさや愛情が詰まっている、そんな作品。

 

ギスギスオンライン ★★★★
(4.3)
829,315
(連載中)

世界観が色々おかしい変人奇人だらけのVRMMOモノ。

あらすじからして色々カオスなのだけど、何というか不思議な魅力がある作品。どことなくシュールな独特な雰囲気。真顔でジョークを飛ばし合う感じ。何が面白いかと問われると上手く答えられないのだけど、とにかく謎の面白さがある。とりあえず他に類を見ない唯一無二の作品なのは間違いない。MMO経験者はがっつりハマると思う。

 

その無限の先へ ★★★★★
(4.9)
2,235,814
(連載中)

冒険者は娯楽を提供するアイドルであり、迷宮探索はエンターテイメントである!

そんな転生者がありふれた異世界で、個性豊かにも程がある仲間たちと『無限回郎』の果てを目指す物語。とにかく舞台設定やら世界観の構築力が凄い。そしてそれらを基本コメディの雰囲気の中でさらっと丁寧に描いてくれるところに作者さんの力量を感じる。生活感溢れる日常小話が好き。

転生前の不自然に欠落した記憶とか、詳細不明の謎スキルなど色んなところにワクワクするポイントがある。バトル展開も意思のぶつかり合いって感じで最高に熱い。傑作。

 

僕とぼっちな彼女達 ★★★★+
(4.5)
341,913
(完結)

救世主になりたかった主人公が、知的障碍者厨二病、引きこもり、援交少女など色んなタイプの孤独な少女達と仲良くなったり軽蔑されたりする現代恋愛モノ。

とにかく主人公の心の葛藤を描く手法が卓越している。失敗して、絶望して、それでも立ちあがって成長していく過程が素晴らしい。万人受けしないのは重々承知ですが、個人的にかなりオススメしたい作品。心揺さぶられます。

 

宿屋主人乃気苦労日記。 ★★★★+
(4.8)
628,606
(完結)

和洋折衷ファンタジー。様々な闇を抱えた訳アリな従業員達が、生きにくい世の中で、共に支え合い、時には傷付け合いながら、それでも懸命に前を向こうと、生きていこうと頑張る物語。

罪悪感や復讐心を起点とするストーリー展開と、個性豊かな従業員達のどこか面白可笑しい交流。シリアスとコメディがしっかり両立していてバランスが取れている傑作です。端書きとして各従業員にifの個別ENDが用意されているのですが、どれも良い感じにメリーバッドエンドで最高でした。

 罪悪感とその救済 -『宿屋主人乃気苦労日記』

 

名前のない怪物 ★★★+
(3.9)
1,045,717
(連載中)

『恐怖と謎とエロスが融合した、サスペンスホラー』と銘打たれた純愛モノ。

色んな要素詰め込みすぎてとっ散らかってる印象は受けたけど、なんだかんだ読んでいて楽しかった。とりあえず『未知との遭遇』が物語の核かと。なんとも形容し辛い作品ですが、主人公と黒スト装備の名前のない怪物ちゃんの出会いから始まる恋愛譚が主軸なのかなあ。

 ライトな純愛ホラー -『名前のない怪物』

 

Garden of Clockwork ★★★★+
(4.6)
660,971
(連載中)

深淵に臨む。

よくあるタイプのVRMMOモノかと思いきや、次から次へと散りばめられる謎、謎、謎と気づけばいつのまにか底なし沼にのめり込んでいた。クトルゥフ神話やSCPから引用される文書がまた良い具合にこの作品を歪に彩っている。オカルトの魅力を存分に詰め込んだ良作。

 

シーフ&ブレイヴス -敗北から始まる英雄譚- ★★★+
(3.8)
717,351
(完結)

第8代目の魔王が生誕し、各国の思惑が絡み合う『魔王戦役』の火蓋が切られた。レヴァリア国から派遣された主人公のパーティは、魔王の部下相手に敗北を喫する。勇者と聖女は殺され、残された盗賊ホークと拳士メイは逃亡戦を開始する。

話の核となるのは主人公の持つ謎の能力。その全容を少しずつ明らかにさせていく過程にワクワクさせられた。最終的に5~6人のハーレムになるので苦手な方はご注意を。

 

鬼神純情伝! ★★★★+
(4.5)
192,449
(完結)

げに恐ろしき千年悪鬼が和風美少女なヒロインに転生しちゃった現代幻想怪異譚。

古めかしい文体でどこか軽妙に描かれる『和の世界観』が素晴らしい。主人公に迫りくる三つの災厄を何とかするというのが大体のストーリーの流れなのだけれども、まあとにかくヒロイン達が愛らしいことこの上ないです。主人公に惹かれていく過程をしっかり描いてくれるのが良かった。

 和風ファンタジーという世界観 -『鬼神純情伝!』

 

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ストックが溜まり次第、作品追加していきます~

 



皆さんもオススメの作品があったらコメント欄に是非!

(追記):最近ツイッターアカウントを作りました。なろうのことばっか呟いてます。気が向いたらフォローしてやってください。

 

君想うこの心は、きっと花を巡る -『鬼人幻燈抄』

なろう備忘録第43弾。

『人よ、何故刀を振るう』

鬼に成れど人の心は捨て切れず。
江戸、明治、大正、昭和、平成。
途方もない時間を旅する、人と鬼の間で揺れる鬼人の物語。


『お前達は長くを生きる。いつか、失くしたものの重さに足を止める日も来るだろう。昔を思い出しては悲しくなって、何もかもが嫌になることだってあるさ』

『だけどお前達には、泣きたいときに泣いて、それ以外は誰かの隣で笑って。長くを生きるからこそ誰よりも“今”を大切に生きて欲しい』

『俺は、そう在ってほしいと思う』

-----『去りてより此の方、いつかの庭』・3より抜粋




210万文字完結。
惨劇の果てに鬼に成り果てた主人公が、長い長い時を旅する物語。最愛の人を殺した実妹への憎悪に囚われながら、それでも妹への情は捨てきれず。自分はどうしたらいいのか。この感情をどう昇華させたらいいのか。長い旅の中で彼は自分と向き合っていく。

この作品の世界観は和風ファンタジー。舞台は現世、作中の出来事も史実に基づいている。しかし主人公は鬼となるし、怪異は身近に存在している、そんな世界の物語。

流麗な文体。巧緻な情景描写。心に染み入る言葉選び。一つ一つの章として完成されたストーリー。強くて弱い等身大な主人公。一本芯が通った魅力溢れるキャラクター達。こうやって言葉に表してみるとどうしても月並みな表現になってしまいますが、それでもやはりこう書かずにはいられない。

今のところ、今年度読んだなろう作品の中で一番面白かった。掛け値無しに。というわけで以下感想垂れ流しです。一応ネタバレには気を付けますが、この作品は伏線回収が真価みたいなところありますし、未読の方はご注意を…。

鬼人幻燈抄

 



『別離と再会』について。

主人公は長い時を生きる鬼。具体的には約1000年。そんな長い時を旅していれば、いつか別れた人物にひょんなところで再会することがある。自分はこの『再会』というシーンが本当に好きでして。

離れ離れになってしまった主人公とヒロインが互いに『会いたい』と願い、互いに相手を探して、そして満を持して再会する。こんな王道の展開も大好きなのですが、この作品で描かれる『再会』はそれとは少し趣が違う。

それは例えば、甘味処の看板娘と五十年近くの時を経ての再会だったり。また相手が鬼だった時などは百年以上の時を経ての再会というのもある。この作品はテキスト量が膨大なので、初期の登場人物はどうしてもうろ覚えになってしまったりする。そんな忘れかけた頃に懐かしいキャラクターを再登場させてくるのだ。その瞬間の「ああ、あの時の!」という感覚が堪らない。

勿論王道な再会パターンもこの作品は欠かしていない。旅の中で様々な出来事に巻き込まれる中で、主人公には大切な人が出来る。花を愛する、一人の鬼娘。彼、彼女は共に一緒に生きていきたいと思うが、自分の生き方を曲げることができない彼と、このまま貴方に寄り掛かっては私は変われないままだと葛藤する彼女が相容れることは無く、二人の道は分かたれる。

個人的にここの別離シーンはかなりキツかった覚えがある。最後まで読了した今でも一番好きなヒロインは彼女だったので。それでもいつか再会するだろうと思って読み進めるが、中々そのシーンは訪れない。時折主人公の回想シーンに出てくるくらいで、あれ、これもう彼女が登場することは無いんだろうかと気落ちしていたあたりでの。待ちに待った。満を持しての。もう快哉を叫びましたとも。

そしてその時の描写が本当に最高で。彼女の元に向かう道中の描写が本当に。伝えたいことがたくさんあって、はやく会いたいとついつい浮足立ってしまったり。そしてこの再会シーンの素晴らしさは実際に読んでみてほしいとしか言えない。もう言葉では言い表せない。締めの文章を読んだとき、私は心の底からこの作品を読んで良かったと思った。

そっと離れた想いもまた、歳月を経て寄り添う。
だから、花が季節を巡るように。
君想うこの心は、きっと花を巡る。
-----『過ぎ去りし日々に咲く花の』より抜粋

 

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和風ファンタジーという世界観 -『鬼神純情伝!』

なろう備忘録第42弾。

あらすじ:
平凡な生活を送っていた少年は、世を揺るがす大騒動に巻き込まれる。
はてさてこの少年は、調伏されし鬼を従え、救国の英雄と相成るか。
悪鬼羅刹より転生し、式神となったこの鬼は、護国の鬼神と相成るか。
強力無比な恋敵を前にして、桜花咲く純情可憐な恋心の行方は何処。

 

「人の温かさを、情を知った獣は、野生では生きられぬ……」
「だが――情を知らぬ獣は、涙を零すまい」
-----第30話『最期ノ災厄・急 - 弐』より

 


 

約20万文字完結。
ひょんなことから世にも恐ろしき千年悪鬼が純和風美少女に転生してしまう。そんな彼女が冷静沈着で豪胆(に見えるように演技している)主人公と『3つの災厄』に立ち向かうお話。

『あまた人を喰らいし稀代の鬼は、容姿可憐なおにゃのこにならん』
-----星村哲生氏のレビュータイトルより

 
そしてヒロインになってしまった千年悪鬼ちゃんがギャップ萌えの権化みたいなキャラでしてそれがまあ可愛いこと可愛いこと。中盤からは千年妖狐も加わってダブルヒロイン体制になるのですが、もう彼女らの愛くるしさにノックアウトされること間違いなしでしょう。

そしてこの作品の最大の魅力が徹底して描かれる『和』の世界観。
まるで歴史モノのような硬派な雰囲気ながら、流れるように洗練された文体。時代錯誤なメインキャラ達の口調も上手く作品と調和している。

平成の現代を舞台に、そしてファンタジーという相容れなさそうな要素を含みながらも、この作品の雰囲気は徹頭徹尾『和』なのである。それでいて可愛らしいヒロインを据えることでライトノベル的な要素も兼ね備えて、固くなりすぎないところも良かったです。

和風ファンタジー、これから暫くはハマってしまいそうだ。

 鬼神純情伝!

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周回の果てに -『リライト・ライト・ラスト・トライ』

なろう備忘録第41弾。

あらすじ:
神獣の守護人は、異世界からやって来る。
守護人の護衛官を務めることになった青年トウイ。そして選ばれた少女・椎名。彼女の願いは、故郷への帰還ではなく、世界の安寧でもなかった。
──「望むものは、たったひとつ」

 
わたしは愚かで、最低だ。
何度も何度も、誤った選択をして、道を間違え、人を見捨てる。
-----第8章『浅い眠り』


正しい道を見つけて、掴んでみせる、必ず。
何を代償にしても。
-----第2章『はじまりの時』


 
90万文字。ただ一人の少年を守るためにループを繰り返した少女のラスト・トライを描く異世界ファンタジー。基本的に描かれるのは最後の周回のみ。

この作品の特徴は『ループ能力』の負の要素を惜しむことなく前面に押し出しているところにあると思う。自分だけ過去をやり直すというズルをしている自覚からくる罪悪感。ただ一人を助けるためだけにループを行い、助けることが出来たであろう他人を見殺しにしなくてはならないという葛藤。

心を殺し、ただただ淡々と繰り返しているつもりでも、回を重ねるごとに少しずつ積み重なっていく狂気。そして、何度ループを繰り返したとしても『最初に私を助けてくれたあの少年』を救うことはできないという事実。

トーリーもまあ全体的にシリアスで暗めですが、主人公の周りにいる人々はクセが強いけど良い人ばかりで上手いこと緩和剤になっています。また一応ボーイミーツガールものに分類される作品だと思うので、ずーっと友達以上恋人未満って感じな彼らの恋愛模様(?)をニヤニヤしながら眺めるのも良い癒しになると思います。

人はどんどん死んでいきますし、けったくそわるい神獣の煽り言葉にイライラしたりと、主人公の心だけではなく読者の心までも折ってくるような作品ですが、トーリーは間違いなく面白かったのでページを捲る手は止まらなかった。いやあ、良い作品でした。

 リライト・ライト・ラスト・トライ
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幸せで溺死してしまう


今冬に『インスタント・メサイア』書籍化決定!!!

半年ぶりに『幻想再帰のアリュージョニスト』更新!!!

月初めにラピスの心臓の更新が再開されただけで幸せマックス状態だったのに、もうなんか嬉しいことが起きすぎて頭が爆発しそうです。あああ~~幸せで溺死する。

もしこれでウロボロスレコードの更新も再開されたら気絶してしまうかもしれない。


インスタント・メサイア
幻想再帰のアリュージョニスト

 


罪悪感とその救済 -『宿屋主人乃気苦労日記』

なろう備忘録第40弾。

あらすじ:
個性あふれる従業員たちの、重なり合う事情や思惑。和洋の魔術が入り乱れ、剣戟と拳が鎬を削る戦い。そんなさまざまな問題に立ち向かう主人は、そのたびに頭と体を酷使し、なおも前に進んでいく……だが一番の問題は、客の少なさである。 
――それは不思議な宿屋主人の、日々徒然なる気苦労日記。

 

「誰も傷つけたくない、とは言うがね、それはどうやっても上手くいきっこないのだよ姫さん。人間、誰しも誰かに迷惑をかけ、傷つけあって生きている。だからと言って動くことを止めれば、周りの人々はそれを気遣きづかって、やはり心が傷つく」

「誰かとつながりを持ったら誰だって責任を持つのさ。それは逃れる必要のない責任だがね。誰だって持っているのだから、それぞれがそれぞれに少しずつ働きかけて、互いに併あわせ持てば良い」

-----十七頁目『押し潰されそうな、自己の罪。(自己不信)』



60万字完結。中編ファンタジー。
様々な闇を抱えた訳アリな従業員達が、生きにくい世の中で、共に支え合い、時には傷付け合いながら、それでも懸命に前を向こうと、生きていこうと頑張る物語。

作品の主題は『何のために生きるのか』であろうか。まあ勿論この問いに普遍的な答えは無い訳で、実際に描かれる登場人物たちの出す答えも若干似てはいるが、皆違うもので。その過程の心理描写は見事であり、この物語の登場人物には確かな芯が存在する。

主にこの作品のストーリーの起点になるのは『罪悪感』、または『復讐心』である。自分が嫌いで、大嫌いで、罪悪感に押しつぶされそうになる彼女。復讐心でしか心の安寧が保たれなくなってしまった彼。救いが与えられる者もいるが、救いも無しに死んでいく者もいる。割と残酷なストーリーではあるが、それはある意味正しいもので。

物語構成の点ではやや荒削りに感じるところもあったけれども、登場人物の人となり、そして彼らの"言葉"が良いのだ。間違いなく良い作品であったと、そう感じます。

 宿屋主人乃気苦労日記。
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