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[ 発信所 ]

好きな作品を発信していきたいブログ

個人的なろう作品10選

小説家になろう ノクターンノベルズ


「本棚の10冊で自分を表現する」みたいな感じで、好きな作品を選んでみました。
今現在の私の10冊はこんな感じです。



1.  『ラピスの心臓

2.  『幻想再帰のアリュージョニスト

3.  『ロスト=ストーリーは斯く綴れり

4.  『Unnamed Memory

5.  『インスタント・メサイア

6.  『武士は食わねど高楊枝

7.  『ウロボロス・レコード

8.  『死神を食べた少女

9.  『蜘蛛ですが、なにか?

10.『極地恋愛



改めて選ぶとなると結構迷いました。一応上にいくほど好きの度合いは強いです。
他の人が選ぶ10選もとても気になる。コメント貰えたらうれしいです。


信頼こそが何よりも -『ロスト=ストーリーは斯く綴れり』

小説家になろう

なろう備忘録第25弾。

今回は『ロスト=ストーリーは斯く綴れり』について書いていきます。

魅力的なキャラクター達、隙が無いストーリー構成。シリアス一辺倒な作品かと思いきや、明るく喧しいキャラクターが緩和剤となっていたりと、丁度良いバランスを保っている作品でした。そして、確実に今まで読んできた中で五指に入るレベルの面白さでありました。


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以下、ネタバレ満載の感想垂れ流しです。
kindleメモに残してある文章を参考にしつつ色々雑記していきます。

 

この大学にいる誰しもが魔物を抱いている。自分以外には決して懐かない魔物を。
---第2章 研究者の憂鬱 (2) より

まず惹かれたのがこの『魔術大学』という舞台設定でした。とある論文の執筆が目的であるこの主人公には、個人的に似た境遇だったこともありかなり感情移入できました。常に冷静沈着な性格もとても好ましかった。

そしてこの作品のウェンブリー編の一番の魅力は、この魔物を抱いている底の見えないキャラクター達だと私は声を大にして主張したい。こういう子たちが素直に露わにする感情が本当に好きすぎるんですよね。特にクレールが良かった。針を纏っていた彼女が見せる弱い部分に、彼女の本来の人となりを見て、一瞬で彼女に感情移入している私がいた。そして彼女を助けるロス君の行動原理がまた最高で。

「1階のランプに毎日火が灯ってるんだ。俺が帰った時間に」
---第4章 偉大なる詐術者(5) より

これまで冷徹な印象だったロス君がこんな温かい言葉を発することに軽く感動を覚え、そして益々この主人公が好きになった。クレール論文騒動の結末も爽快なものであったし、そこで彼女が見せた本音と正直な感情の発露には、身も心も浄化される思いでした。このあたりでこの作品に没頭してしまったように思う。

そしてウェンブリー編のラストシーン。

生き延びる為に必死になって耐えてきた少年は、その日。

デ・ラ・ペーニャで一番の料理人と、献身的で誠実な魅力いっぱいのウエイトレスが、貴方のお帰りをお待ちしております」

生まれて初めて―――――故郷を得た。
---第6章 少年は斯く綴れり (25) より

本ッ当に最高の締めでした。読み終えたあと余りの最高さに暫く茫然自失の状態だった。献身的で誠実な~のくだりがロス君のクレール評と全く同じなのもグッと来る。このラストシーンが素晴らしすぎた影響で、マラカナン編の序盤はあまり物語に没頭できなかった。大学編の周りのキャラクターに慣れすぎて、マルテや四方教会の面々達にあまり感情移入できなかった。しかし..。

つまりは、『一度慣れ親しんだ相手との、再結成』。

そんなこんなで、アウロスは三度、粘着質な情報網を得た。
---第7章 革命児と魔術士の王 (20) より

ラディの再登場で見事に再燃しました。もうこの再会シーンは最高にアガった。正直、彼女が作中で一番好きなキャラクターと言っても差し支えない。ルインの正妻感も好きだけど、なんだかんだ最後までロス君と付かず離れずの関係性だったラディが本当に好きだった。9章ラストシーンで描かれたロス君、ルイン、ラディの三角関係(?)の清算も良かったです。色恋沙汰に無頓着だったロス君がまさかここまではっきりとけじめをつけるとは思っていなかったけど、彼らしい誠実な形での決着はストンと腑に落ちるものでした。 

その後のエピローグで、結局いつものようにじゃれ合ってしまう二人には、思わず苦笑が漏れそうになりながらも、それでもやはり二人にはいつまでもそのような関係でいてほしいなと思ってしまったり。ロス君とルインは間違いなくお似合いの2人だと思うけど、元気一杯なラディもまたロス君に必要な人物だと思うんですよね。彼がラディを『相棒』と称した時は本当に胸が熱くなったものです。

さて、序盤はあまり良い印象を抱かなかった四方教会の面々ですが、マラカナン編も終盤に近づいてきたあたりから加速度的に好きになっていきました。この段々とキャラクターの生い立ちや人となりが明らかになっていく手法がこの作品、本当に卓越しています。過去回想での四方教会結成時のデウスの台詞は胸に来ました。

 「いいかお前等、自覚を持っておけよ。四方教会の『四』はお前等四人の事だ。お前等全員が――――」
---第9章 アウロス=エルガーデン【下】(69)より

このくだりは本当に熱かった。デウスの思いが、四方教会4人の思いが爆発したシーンで最高に燃えた。 マルテやフレアも終盤には良いキャラクターに成長している。マルテがフレアを誘うシーンはロス君と同じく、ほほえましい気持ちになってしまった。


以上です。掛け値なしに最高の作品でした。本当に良かった。

 【一覧】なろう読書録

 

 

最近読んだなろう小説を紹介する①

まとめて紹介 小説家になろう

こんばんは。
お久しぶりです。

こちらの記事が文字数制限に引っかかりそうになってきたので、新しい記事シリーズとして『最近読んだなろう小説を紹介する』を不定期に書いていこうと思います。

出来るだけマイナー気味の作品から、1記事10作品くらいを目安に書いていく予定です。それではどうぞ~!

※タイトルクリックで本家に飛びます。


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◆ Messenger  (完結)


スラブ風味の雰囲気が素敵な異世界トリップ長編。
男装の女主人公の人生録って感じです。ゆっくりと、それでいて素敵な文章で紡がれていくストーリーが良かったです。読後の幸福感がすごかった。享楽的なテンプレ作品に飽いた人や、普段から一般小説を読む人に薦めたい一作。


◆ 宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する


こちらは一転して享楽的な異世界転生モノ。
普通に面白いの一言。かなりアクの強いタイトルですが、主人公は普通に好青年でした。まともな主人公、可愛いヒロイン、あと何か一つ独特の要素があればもう自分的には言うこと無しです。これは文明構築モノに分類されるのかなあ。


◆ 召喚ハゲ無双! ~剣と魔法と筋肉美~  (完結)


ハゲ散らかった頭皮を持つ中年サラリーマンの冒険譚。
中身はまともな王道ストーリーです。ダンディなオジ様主人公(ハゲ)が個人的にドツボでした。タイトルにビビッと来た人は是非読んでみてほしい。30万字程の中編です。


◆ メタンダイバー  (完結)


木星在住の40歳の男は、記憶喪失の少女の世話を頼まれる。
良質で硬質なSF作品でした。結構エンターテイメントに特化してるので普段SF読まない人も是非挑戦してみてほしいです。SFは面白いんだ...。もっと増えて…。


◆ 「あなたの人生、ロードしますか?」「はい/いいえ」


ごってごての俺TUEE+ハーレム作品です。普段こういう作品はあまり読まないんですが、ハーレムの維持に四苦八苦しているという設定に惹かれました。『セブンス』『迷宮最深部』とかを思い出したりした。ノクタの番外編がエロいです。


◆ 六人の赤ずきん  (完結)


ジャンルは謎解き+パニックホラー。15万字程。
ダークメルヘンな雰囲気がとても良かった。濃密な物語も流石といった感じでした。作者さんであるicecrepe氏は個人的に激推しなので是非他作品も読んでみてほしいです。


◆ 俺より強いあの娘を殴りに行く  (完結)


熱いひと夏を描く、格ゲー青春ストーリー。10万文字ちょい。
格ゲーという要素に目が行きがちだが、個人的には甘酸っぱい恋愛模様に惹かれた。書籍化もされてるので、物語の面白さは保証されているかと。


◆ あたしを見てよ、と魔女は叫んだ


精巧な筆致で描かれる重厚ファンタジー。何故これほどまでの作品がブクマ2桁なのか…。やはりテンプレ要素が無いとなろうではウケないんでしょうかね。連載を追っている数少ない作品の1つです。


◆ 俺のペットは聖女さま  (完結)


※健全な意味でのペットです。こういう純愛モノの異世界転生作品って何気に少ない気がする。一人のメインヒロインと目一杯イチャラブする作品は増えていいと思います。内容は比較的ライトな王道ストーリーです。書籍化もされてるとか。


◆ 我が名はエルフライダー


エルフに乗って戦う主人公のお話。確実に人を選びます。作風としては『インスタント・メサイア』に近い感じで、狂気と能力でエルフ少女達の自我を解体していき洗脳していく過程に危険な魅力を感じてしまう。官能的。



以上です。
皆さんもオススメ作品などあれば是非コメントにお願いします~。

ダウナー系ツンデレ妹は最強 -『死神の接吻は別離の味』

エロゲ

お久しぶりです。

エロゲ備忘録第3弾。実は裏では色々とプレイしているのですが、中々琴線に響く作品が無くモヤモヤしていたところでの、この作品でした。

エロゲって作品を楽しめることに個人の趣味嗜好がかなり影響されると思うんです。私個人の趣向としては、ガヤガヤワイワイした雰囲気の作品はニガテで、攻略ヒロインと主人公で二人だけの世界を構築してるシナリオが好きだったり...。この嗜好のせいであまりゆずソフト作品あたりが楽しめないのは辛い所。


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その点この作品『死神の接吻は別離の味』は実に私好みの作品でありました。特に妹である雫√は最幸の一言。ダウナー系ツンデレより最強なキャラクター属性ってあるんでしょうかね。改めて考えてみたらダウナーツンデレなキャラって他に何も思いつかないんような...。この作品2009年に作られたモノなんですけど、時代を先取りしすぎではないか。ダウナーツンデレ流行らないかなあ。クーデレとはまた違う良さがあるのだ..。

実のところ私、雫√しかプレイしてないので以下はその素晴らしさについて語るのみです。彼女のシナリオが完璧すぎて満足してしまいもう他の子を攻略する気は起きなかった。元々二股かけてるみたいで複数√やるのがあまり好きでは無いという理由も少なからずありますが...。

閑話休題。とにかくこの雫√は『妹』という属性の強みを前面に前面に押し出したシナリオであったと思います。それに合わせたキャラクター造形も見事の一言です。親無しの二人暮らしという設定も最強。血は繋がっていない設定ですが、まあ実妹でも義妹でもどちらにしろ最高なので言う事なしです。

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家で二人きりの間、妹が兄に対してずーっと小言でぐちぐち言っても、散々からかっても、全部好きの裏返しになっちゃうみたいなところがとても好き。確かな絆が築かれているので、いくらでもからかったりして甘えることができるんですよね。まあ例に漏れず実際はお兄ちゃん好き好きな妹な訳ですが、彼女は他の妹キャラとは一味違う。

兄がずっと想い続けている女性にかなわないと知っていながら、兄の気を惹き続けてしまう彼女の内心の葛藤が切なくて、そして尊いのだ。『甘えられなくても、同じ部屋にいて話をするだけでいい。』と嘯きながら、嫉妬や悲しさで枕を濡らす。なんというか、個人的にこういう報われないサブヒロインみたいな、薄幸キャラクターってとんでもない魅力を感じてしまうんですよね。実際彼女は報われるのですが、そのカタルシスといったらまあ筆舌には尽くせません。

一昔前のゲームなのでエロCGは枚数が少なく使いまわしも多かったけども、内容は言うこと無しでした。雑誌や友人からの知識で優越感に浸っていた妹が、いざ本番になると下手っぴで空回りしてしまい、お兄ちゃんに従えられるのが最高に萌える。事後はベッタベタに甘えてくるのも言わずもがな。

あとはタイトルに死神と冠されている通り、シナリオ中盤で妹が死神に近いうちに死ぬことを宣告される展開があるのですが、そのあたりの彼らの心理描写とかも素晴らしかったです。死の間際に立った彼女が零した『死を宣告されたおかげで、やり残したことや言い残してることに気づけたよ』あたりの台詞からずっと涙が止まりませんでした。用意したティッシュでなんとやらです。

結論、妹キャラは最強。以上最高の妹ゲー『死神の接吻は別離の味』の感想でした。


ただ最愛の人のために -『勇者イサギの魔王譚』

小説家になろう

なろう備忘録24弾。

『勇者イサギの魔王譚』を読み終えました。
本当に良かった。もう充足感が凄い。この昂る感情を記録すべく、今回もまた色々と雑記していこうと思います。簡単にこの作品を紹介しつつレビューしたのち、個人の感想を赤裸々にぶちまけていこうと。


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『勇者イサギの魔王譚』はジャンルとしては『なろう』では珍しくない悪役転生モノに分類される。しかし4人の主人公をここまで完璧に描き切った作品は他に類を見ないだろうと思う。それぞれ全く性格の違う4人が紡いでいく魔王譚は、それぞれに違った魅力があり、おそらく誰か一人には必ず強く感情移入してしまうことになる。そして一人でも大好きなキャラクターがいる作品というものは、得てして忘れることのできない宝物になるもので。ちなみに私は全員の物語に没頭していました。話が進むにつれ明らかになっていく彼らの過去を、彼らという人間を知っていき、気づいたころには目を離せなくなっていた。

この作品のストーリーラインは概ね読者に厳しい。中盤あたりは辛い展開が続きます。かつての仲間同士が争う話などは特に辛いものがある。しかしその分、ラストシーンは燃え上るような熱さを見せてくれる。痺れる程に格好良くて、何度感嘆の息を吐いたか分からない。この作品の作者さん、ワードセンスが卓越しすぎなんですよね。まさに心に響く文章という印象を受ける。エピローグも完璧で、ここまで満足感のある風呂敷の畳み方は久しぶりであった。

そしてこの作品の最大の魅力は、やはり彼らの行動原理であろうと思うのだ。ただ最愛の人のために己を貫き通す彼らの姿は、最高に格好いい。ボーイミーツガール好きな私としてはハーレムものより、こういう一途な愛情に憧れを抱いてしまうもので。12章中盤で緋山愁が放ったこの台詞は、この作品の魅力を如実に表している。

 「不完全な存在として作られた僕たちは、そのいびつな形を埋める片割れをいつか見つけ出すことができる。ノエル、人に生まれた君は、愛を知るべきだ。なによりもそれが、尊いものだ」
<12-7『デモン』より>

 



以下ネタバレ含む


では個人的な感想をば。
とりあえず4人の中で一番好きだったのは廉造でした。もう最初から最後までずっと。不器用で、愚直で、一途で、シスコン。最高じゃないですか。結局彼はイサギに勝つことは出来なかったけども、でもそれでいいんですよね。そんなとこもまた彼の魅力であると私は思うんです。そして彼を語る際に忘れてはならないのが、シルベニア。彼女もこの作品の女性キャラの中で一番好きといっても過言ではない。彼ら二人の不器用すぎる、でも優しさに溢れるコミュニケーションが大好きだった。

あくまでも孤高を貫こうとする廉造の姿にシルベニア自身の姿が重なったんだろうか。シルベニアが彼に懐くまでの過程って直接描かれてはいないんですよね。あの二人旅で色々とあったのでしょうが、何がったのかは間接的に類推することしかできない。でもそういうどこかミステリアスな関係性というのも彼らの魅力の1つなのかもしれない。

最後まで彼らを恋仲にしなかった作者さんの選択は英断だったと思う。恋愛の代わりに描かれた親愛は、素晴らしいものであった。そんな彼らのやり取りは、あまり描写されなかったけれど、それでも極限まで削られながら描かれるそれは本当に良いもので。エピローグでシルベニアが感情を爆発させるシーンは言わずもがな、満身創痍の彼のもとに不機嫌な顔でやってきた彼女が隣に座って治癒魔法をかけ続けるシーンとかもう最高すぎて死ぬかと思った。もどかしい距離感が、やりとりが、何故か心地よい。

彼ら4人の魔王譚の中で最も完成度が高いと思ったのは、緋山愁の物語でした。中盤まではどこか掴めない飄々とした人物だった彼が、後半あれほど化けるとは思いもしなかった。六姫に捕らえられたあたりから徐々に本性を露わにしてきて、そして絶望の底に叩き落される。そこから這い上がる展開が王道ながらやはり燃えてしまうもので。最終章の「大暴れしてやりたい気分なんだ。後先なんて考えず」の台詞には思わずスカッとさせられた。そして彼の魔王譚を最高のものにしたラストシーン。あの幕の閉じ方は尊すぎるでしょう。この瞬間、作中のベストカップルは間違いなくこの二人になった。



誰にでもオススメできる、王道異世界ファンタジー作品。是非。

勇者イサギの魔王譚

【一覧】なろう読書録 - [ 発信所 ]

海外のベストレビューを翻訳する -『秒速5センチメートル』

海外の反応 アニメ

各アニメの海外で最も支持されているレビューを翻訳する。
今回は短めのレビューだったため、2本立てとなっています。

原文はコチラコチラ。(MyAnimeListより)


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Sep 13, 2008
3 of 3 episodes seen
Overall Rating: 10
1960 people found this review helpful

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秒速5センチメートル』は新海誠が送る二人の幼馴染のラブストーリー。人生に降りかかる困難によって変わりゆく彼らの関係、移ろいゆく感情が克明に描かれる。全三章の短い物語の中で語られるのは、彼らの成長と、そして離れていく互いの距離。

この映画が描くのは、遠く離れてしまった距離が二人の愛をゆっくりと引き裂いていく過程であるが、その根底には様々な美しいテーマが組み込まれている。それは例えば過去を手放すことであったり、自分自身で未来を選択することであったりだ。これらのことは作品の中で明確に示されている訳では無いが、しかしこの作品のラストシーンがこれらのテーマ、そして主人公が最終的に決めたことを象徴しているのは明らかである。

この作品では主人公 Takaki Tohno の成長が辿られる。それぞれの章で描かれるのは子供時代、学生時代、そして大人になった彼の姿。私達はこれらの過程で彼の成長を、そして彼の幼馴染である Akari Shinohara との関係性がどのように変わって行くかを見ることになる。

彼ら、彼女らが見せる感情は信じられないほど美しく、現実的に描かれる。Takaki と Akari の間にある仄かな愛情が、Takaki に対する Kanade の一方通行の切ない懸想が、子供から大人になってしまった彼らの思いが、微に入り細を穿つように描かれる。あなたは見ている間に彼らに感情移入をして、ともに喜び、悲しみ、そして彼らが幸せになることを望むことになるだろう。

アニメーション技術もまた驚異的である。美麗に描かれる背景、照明効果、カメラアングルはこの作品の雰囲気を昇華させている。登場人物の顔がやや詳細に欠けるのは少し気になったが、それを考慮してもこの作品から受け取った視覚的幸せは今までに経験したことないものだった。

音響効果も作品の美しい雰囲気を、効果的に増幅させている。そのBGMは静かで、郷愁的で、憂鬱なものであったが、作品との調和は見事の一言であった。声優の演技も、キャラクターの複雑な感情を絶妙に表現していた。私は日本語版しか見ていないので、英語吹き替え版については何も言えないが、やはり私は日本語版で見る事を薦めたい。

秒速5センチメートル』は、ストーリー、作画、音楽、全てにおいて傑作足りうる作品である。死ぬ前に見る映画を1つだけ選ぶならば、私は間違いなくこの作品を選ぶ。




Jul 17, 2014
3 of 3 episodes seen
Overall Rating: 7
884 people found this review helpful

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私は、困惑している。
私はこの映画を楽しみたいと思っていた。この作品は息も詰まるような美麗な作画で私の心を奪い、1時間の間ずっと目が離せなくなってしまうのだろうと思っていた。

もしあなたがこの作品を愛しているのなら、以下の私のレビューを不快に思う可能性がある。私が氷のような心を持っていると感じるかもしれないが、私はただ自分の思ったことを書いていく。

私はこの映画を見終わった後、しばらく放心していた。それは感動したからという訳ではなく、ただただ困惑していたからである。ここのレビューでは皆がこの作品が最高だと評し、美しく、それでいて胸を刺すようなメッセージに感動すると絶賛していた。しかし私はそのように思えなかった。あなたは私が愛というものを知らない心無いロボットのような人間だと思うかもしれない。しかしそれは違う。私は恋に落ちたことがある。それがどれだけ胸を苦しめるか知っている。愛する人と、その思いを共有できないと知った時の荒廃した悲しみも知っている。しかし、出来うる限りの努力はしたが、何らかの理由で私はこの映画に感情移入することができなかった。

なぜ私の期待は外れたのだろうか。このレビューを書いている今も、私はそれについて考えている。正直、私は自分自身に失望している。私を除いたほとんどの人が、この映画を純粋に楽しみ、感動しているように見えるからだ。それに対して私は、冷たい石の怪物のようだった。私はこの映画を見る前に必要になると思いティッシュを用意していたのだ。真剣にこの作品を見るために、家族には別の部屋に移動してもらっていたのだ。

私にとって『秒速5センチメートル』が持つ最大の問題は、登場人物に十分な成長が与えられていない点にあると感じた。私は理解している。Takaki と Akari は恋をしていて、彼らは気持ちを共有していた。しかし一緒にはいられなかった。ああ、確かに悲しい出来事であるが、その描写はあまり響かなかった。映画のラストシーンも、私は彼らが互いに巡り合わせが悪く再会することができない関係なのだなとしか感じなかった。

この映画には様々な素晴らしいメッセージが込められている。その1つはどんな人にも、過去から脱却し、それを遠くに置いて、再び前に進まなければならない時が来るというものだ。しかしこのメッセージが素晴らしいことは確かだが、これはこの作品唯一のモノではなく、月並みなメッセージにすぎないこともまた確かである。ストーリーは興味深いが、その過程で登場人物が得たモノを、もう一歩描いてほしかった。私は登場人物である彼らが、彼女らこそが、この作品のメッセージを行動を通して伝えなければならなかったと信じている。

私たちは登場人物に感情移入して、初恋の気持ちや、失恋した時の悲しさを共有することができる。この作品はその点において非常に卓越していて、ほとんどの人は共感してしまうことだろうと思う。そしてこの作品が象徴主義*1に基づいていることも、この作品をより良いものにしている。また作品の幾つかのストーリーラインは洗練されていて、全体的にこの映画はすべての要素において素晴らしいように見えることだろう。残念ながら私はその限りでは無かった。

しかし私は皆に是非この作品を見ることを勧めたい。そこで何か新しいものが得られることは確かであるし、レビュー欄に溢れる10点満点を見るに、あなたがこの作品を楽しめる可能性は十分にあるはずだ。そして私はこの作品について考え続けようと思う。比較的共感しやすい私が、なぜこの作品についてはそうではなかったのかを。もし私の見解が変わったその時は、新たなレビューを書き直すためにここに戻ってこようと思う。『ハウルの動く城』でも言っている通り、心は変わることができ、それは誰にでも可能なことなのだから。

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海外のベストレビューを翻訳する -『電波女と青春男』

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*1:主観を強調し,外界の写実的描写よりも内面世界を象徴によって表現する立場。

海外のベストレビューを翻訳する -『電波女と青春男』

海外の反応 アニメ

各アニメの海外で最も支持されているレビューを翻訳する。
原文はコチラ。(MyAnimeListより)


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Jul 11, 2011
12 of 12 episodes seen
Overall Rating: 9
513 people found this review helpful

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当初レビューを書くつもりはなかったが『電波女と青春男』を楽しく見ていた一人として、多くを占める平均以下の評価を払拭する義務があると感じて筆を執った。

Art:
素晴らしい。私は作画にはうるさいほうだが、この点において『電波女と青春男』は間違いなく優れている。カラフルで、鮮やかで、生き生きしている映像。シャフトの色彩設計は本当に卓越していて、それは『秒速5センチメートル』の水準にさえ届きうる。

Soundtrack:
私はこの要素をあまり重要視しないので、普段は省いている。しかし、この作品のどこか憂鬱なピアノ曲などシーンに適合した雰囲気のBGMは特筆すべきものがあった。OP/EDについては言及を避けることにする。

Characters:
多くのレビュアーが述べているように、この作品のキャラクターは奇抜な人間ばかりである。よくあるキャラクターの焼き直しではなく、彼女らに新しいタイプの個性を与える手法は痛快の一言。特に主人公の自転車のカゴに座って空を目指す Erio Touwa が個人的に好きだった。また彼女らの成長はゆっくりであるが、確かに存在する。これは多くのレビュアーが十分に指摘していないことだ。

電波女と青春男』は思春期の男女の日常を描いた作品であるのだから、劇的な成長や、複雑なイベントは存在しないほうが好ましいと私は思う。この漸進的な変化は、私達の現実をそのまま反映させたものであり、ただ彼女らが自らの奇怪な行動を自覚するということだけでも、それは間違いなく有意義な成長であるのだ。

Story:
この物語は爆発的なスタートを切る。1-3話は個別でOVA作品にしてほしいほど良かった。どこか謎めいたプロローグに私の心は鷲掴みにされた。Erio の個性はこれでもかというほどに強調され、人生の意味を哲学的に深く探求していくストーリーも素晴らしい。主人公が Erio の妄想癖に対して拒絶するのは、彼が正当な幸福を求めることに起因している。彼の行動は自身の信念に基づいたもので、それは彼が正常な人間であることを明確にしている。

残念なことに、多くの視聴者はこの作品を"ただのハーレム作品"だと見なしているようだが、ここで私はそうでないことを強調したいと思う。この洞察はやや不安定であるが、いくらかの的は射ていると思う。

第8話*1を例に挙げてみる。この話は Meme の1週間の日常生活を軸に構成されているが、そのエピソードで得られる結論は鋭く、また深淵なものであり、彼女の根底にあるものを垣間見ることが出来た。この物語に無意味なストーリーは存在しない。

初めの1-3話に比べると、残りの4-12話で扱われたテーマがやや日常的であったことは確かである。この作品は視聴者の興味を留めようとするあまりプロットが浅くなっているという批判があるが、私はそこを批判するのは違うと思う。この日常的なストーリーは10代の男女の群像劇を扱うこの作品に良く調和している。

またキャラクターの会話はまるで深海魚のようにグルグル転回していくが、そこには僅かではあるが人生の教訓のようなものが巧みに吹き込まれている。注意を払ってこの作品を視聴すれば、人生経験に基づく啓発的な見識を得ることができるかもしれない。

独特なキャラクター、ゆっくりとした変化、興味深いストーリー、これらこそが『電波女と青春男』の魅力に他ならない。

複雑なプロットを望むのならば、この作品は敬遠することを勧める。しかし、もしあなたがライトで華々しい物語を望むというのなら、私は強くこの作品を薦めたい。また繰り返しになるが、『電波女と青春男』には僅かであるが哲学的なメッセージが込められていて、それはあなたに数奇で思慮深い見識を与えてくれることだろうと思う。


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*1:海で手作りロケットを打ち上げる話です