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好きな作品を発信していきたいブログ

携帯小説を侮るなかれ -『Mr.NO-GOOD´』

※ネタバレ注意


備忘録第17弾。

今回紹介していくのは『Mr.NO-GOOD´』という作品。
なろうテンプレートを批判する記事で『ただひたすら主人公が報われない』というレビューで紹介されていたので気になって手に取ってみた。元々モバゲー携帯小説で連載していた作品らしく、当時はかなりの人気を誇っていたらしい。かれこれ6年前の小説であるから読んでいて色々と懐かしい気分になった。

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物語は非常にシンプルだ。第1章はすべての話が『女の子を助けるが勘違いされて嫌われる』の様式美に沿っている。これが1話完結で10人くらい繰り返されていく。ここでのポイントがこの中に一人だけ助けられた主人公に恩義を抱く少女がいたということだ。彼女は彼を探すために旅に出る。こういう展開は好き。再会したときに生まれるカタルシスが好きなのだ。


2章もまあ似たような感じで進んでいく。ぽんぽんと新しいキャラクターが出てきては一瞬で消費されていくのが何とも携帯小説らしい。そしてここでも一人だけ主人公を想う少女が現れる。物語が進むにつれパワーインフレがどんどん進んでいくのもそれっぽいですね。瀕死状態になるのは日常茶飯事。

さて、3章だ。これまで辛酸を舐めていた主人公が一時的に報われるシーンがくる。ラストシーンで主人公が皆の前で世界を救うのだ。そこには主人公たちが過去に助けた人たちが集まっていた。そして主人公に駆け寄る3人のヒロイン。そして周りにいるヒロインになり得た少女達は悟るのだ。

そこで泣いている三人を見て、理解している……。

そこが、思い人を信じ続ける事が出来た者だけの特等席だと言う事を……。
―――<3章-13話より>

この一文がぐっとくるのだ。これまでの辛い展開が昇華されていくこの感じ。
この4話後くらいにヒロインズと離れ離れになって主人公の一人旅に戻る展開も割と好き。

最後にこの作品で私が一番好きなシーンを紹介して締めようと思う。


4章ラストで描かれるオリビアとの話。かなりキツく暗い過去を持つ彼女は主人公である彼と出会い束の間の幸せを得る。その後敵に連れ去られてしまったオリビアは魔の手により改造され魔物になってしまう。変わり果てた姿となり主人公と対峙したオリビアは正気を取り戻し彼に殺してほしいと乞う。

「私は…………。ほんの短い時間だったけど、あなたのおかげで幸せでした……。あなたは真っ暗だった私の人生に、光を与えてくれた…………」
―――<4章-12話より>

月並みな台詞であるが、ここに至るまでに積み上げられてきた様々なシーンが影響して思わず涙を流してしまった。そして主人公は彼女を刺し、一人荒野で慟哭するのだ。


とまあこのような小説です。気分転換に読んでみてはいかがでしょう。普段なろうを読んでいる方なら携帯小説的な文体にはすぐ慣れると思いますよ。

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