読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

[ 発信所 ]

好きな作品を発信していきたいブログ

海外のベストレビューを翻訳する -『四畳半神話大系』

各アニメのベストレビューを翻訳する。
原文はコチラ。(MyAnimeListより)


スポンサーリンク

?


Jul 21, 2014
Overall Rating: 10
560
people found this review helpful

Review『The Tatami Galaxy

人生とは単純で明瞭な選択肢の問題ではない。今の私達の人生は、私達が過去に為した選択によるもので、私達が今為していることによって未来は作られていくのであろう。これらすべてを考慮すると、人生とは私達が今までに為してきた選択の合計を一纏めにしたモノに過ぎないということになる。

はたして本当にそうなのであろうか?

あなたはこれらの考えについてどう思うだろう。このような考え方は、誰しもが持っているものでしょう。たとえ些細な事でも、一瞬の出来事でも、私たちは人生の中でこれまでに為してきた選択について熟考してしまう。それが重要なことか、世俗的なことかということは今は気にしないことにしよう。

最高の瞬間というものは、もしかしたら退屈な授業中にボケーッとしている間であるかもしれないし、職場で少し怠けている間であるかもしれない。もしあなたが物思いに沈みがちな性格であるとしたら、自分が為してきた日々の小さな出来事について考えることに時間を割いてしまうこともあるだろう。ここで私達の性格については脇に置いておくとして、私達は皆このように自問自答したことがあるはずだ。『あの時…もし仮に…していたら…』

四畳半神話大系 感想


『あの時私はバスの中であの女性の隣に座るはずだったのに、結局立ったまま何も出来なかった』

これはほんの一例である。実際に私の人生は、その日常的で些細な出来事でどれだけ変わっていくのであろう。それを知ることは不可能であるが、しかし私は考えてしまう。

『もしその女の子と座っていたら...?』

その出来事が少しでも創造的であったなら、私は乗車の間に少し彼女と話をすることができたかもしれない。私は彼女が素晴らしい女の子であるということを知り、彼女は私のことを良いと思ってくれたかもしれない。翌日彼女は私のために座席を予約してくれて、また話を始めることができたかもしれない。そこで私は彼女をデートに誘って、そして二人は恋に落ち、婚約し、気づいた時には彼女と結婚している…かもしれない。

これらを引き起こした出来事は一体何だったか。それは日常的で些末な選択の結果であったはずだ。しかしおそらく、より現実的な風景は『私は立ったままで、彼女はバスから降りてしまい、そして私が彼女を見たのはそれが最後だった』というものだろう。ともかく、今存在している私達はこのような選択肢の産物であるといっても間違いは無いだろう。しかしそれだけではなく、私達の周りにいる人々もまた、私達を変える力を持っているのである。

さて、おそらくあなたはこう思っておいでだろう。これらのことはアニメやレビューと何か関連があるのかと。それに対する私の答えは『全てが重要で意味がある』だ。特に『私たちは選択の産物』という考え方は今から私が紹介しようとしている『四畳半神話大系』という作品のメインテーマであるのだから。

四畳半神話大系 感想


(この作品の主人公には名前が無いので、以下では彼のことを"主人公"と呼称することとする)

私達はストーリーを通して、選択によって主人公の人生がどのように移り変わっていくのかを見る事ができる。この作品での選択は『主人公がどのサークルに入るか』というものだ。さて、この選択は彼の人生をどれだけ変えるものなのだろうか。当初の私なら「殆ど変わりそうにない」と言うだろう。しかしこの考えは何から何まで間違っていた。そして主人公が行き着いた答えはぐうの音が出ないほど正しいものであった。

映画研究会、テニスサークル、ソフトボール同好会…どれを選んだとしても、主人公はただ『薔薇色のキャンパスライフ』を追求する。おそらく皆も夢見るだろう、人気者で、友達がたくさんいて、可愛い彼女がいる、そんな人生をだ。しかし我らが臆病な主人公にとって、これは非常に困難な目標であった。

そして不幸なことにそんな彼の志を邪魔してくる人物がいるのだ、それが"小津"である。小津と主人公の関係性は少し奇妙で、そして素晴らしいものである。小津という人物は、あなたの気の持ちようによっては親友のように感じるかもしれないし、はたまた最悪の敵になるかもしれない。

四畳半神話大系 感想

 

そして各話でそれぞれ異なるサークルに入った彼らの人生がどうなっていくのかを私達は確認することになる。このアニメのストーリーは本当に独特な形態をとっている。私達はこれらの話を11ピースのパズルと考える必要がある(この作品は全11話)。ストーリーを通して少しずつ欠けている部分を埋めていき、そしてそれが完成した暁には素晴らしいカタルシスを得ることができるのである。

さて、まずはキャラクターについて話していこうと思う。彼らは本当にユニークなのだ。主人公から占い師のオババまで、全てのキャラクターが私の心を惹きつけてやまない。彼らのもつシンプルな魅力故に、私達は彼らの事を忘れることができなくなってしまうのだ。

まず始めは主人公について。大学1回生である彼は非常にシャイで他人に影響されやすく、小津の口車についつい乗ってしまい、毎回のように薔薇色の人生を得ることに失敗してしまうような悲しき主人公だ。

主人公はそんな小津との最初の出会いを「最初にして最悪の出会い」と表現している。悪魔の如き容姿をしている彼は、たしかに悪事を働くが、一方で主人公の良き親友でもある。この二人が作品において最も重要な人物になるが、ここで詳細に語るのは止めておく。この二人の行方ついては是非作品を見て自分の目で確かめてほしい。彼らの真の魅力を語るとなると、このレビューは果てしなく長くなってしまう。

この物語は主人公を中心に回っているが、他のキャラクターにとってそれはさほど重要なことではない。我らが主人公は受動的な性格であるので、彼を動かしていく他のキャラクター達も重要になってくるのだ。すなわち主人公の選択だけではなく、主人公が出会う人々も彼の人生を予期せぬ方向に導くことができるということである。この作品は私たちの身には起こりえないことを経験させてくれて、その経験によって私達はとても大事なことを理解することができる。このアニメを見終えるまでにそれを理解することは難しいだろうと思う。

物語のエンディングは本当に素晴らしい。この作品の意味を知るときには感動せずにはいられない。勿論コメディも欠けてはいない。この作品はコメディシーンも際立って面白い。それぞれのキャラクターが色々な手であなたを笑わせてくれることだろう。特にジョニーのシーンなんかは忘れられない。

この作品は作画もかなり特殊であるのだが、もしあなたが最初に見たときそれを奇妙に感じても、すぐに慣れてしまい「なぜこのような作品がもっとないのか」と思ってしまうだろう。この作品は『Madhouse Studio』で作られていて、信じられないほどハイレベルなアニメーションを見ることができる。独創的な作画はこのスタジオのトレードマークであろう。

 

四畳半神話大系 感想

 

BGMも活気のあるものから哀愁的であるものまであらゆるシーンに完璧にマッチしているのだが、一つの珍しい理由のために私たちはそれらのBGMに注意を払うことはないだろう。なぜなら、主人公の高速で軽妙なモノローグが私たちの集中の大半を占めてしまうからである。しかしBGMを二の次にするのは必ずしも悪いことではない。主題歌はどちらも素晴らしく、私は特にOPが気に入っている。


もしあなたが迅速に字幕を読むことができないならば、一時停止ボタンを手放すことはできないだろう。主人公は常にスピーディに話すので、字幕を読むのが間に合わないことがよくあるのだ。しかしそれだけが問題なのではない。主人公のモノローグのひとつひとつには、たくさんの意味が詰まった言葉が溢れているのだ。私たちはそれらをきちんと理解するためについつい何度も見直してしまう。実際に私も何度となく見直した。この作品で発されるすべてのフレーズは信じられないほどに魅力的なのだ。Wikiquote*1には多くのページがキャラクターの台詞で埋められている。それらはすべて、四畳半神話体系で生み出されたオリジナルな言葉なのである。

道徳を説く作品があり、面白いキャラクターがいる作品があり、非常にユニークなストーリーを持つ作品がある。そしてこの四畳半神話大系という作品は、それらのすべてから構成されていると私は主張せねばならない。

また、私は暫くしてからもう1度アニメを見直すということも薦めておきたい。私自身も経験したことなのであるが、見直すたびに新しい発見があるのだ。この作品は初見時には見逃しがちな細かいところに様々な趣向が凝らしてある。この作品は何度もあなたに驚きをもたらしてくれるだろうことを私は保証する。

さて、私はできる限りのレビューをお届けした。このレビューを読んでくれた人が実際にアニメを見てくれることを願って止まない。この作品は本当に価値のあるモノなのだから。

ここまで読んでくれてありがとう。



スポンサーリンク

 

▼:関連記事 

海外のベストレビューを翻訳する 【記事一覧】

海外のベストレビューを翻訳する -『フリップフラッパーズ』

海外のベストレビューを翻訳する -『氷菓』

*1:多言語オンライン引用集サイト