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海外のベストレビューを翻訳する -『イヴの時間』

各アニメの海外で最も支持されているレビューを翻訳する。
原文はコチラ。(MyAnimeListより)


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Sep 20, 2009
Overall Rating: 10
238 people found this review helpful


イヴの時間 感想


イヴの時間』はかなり特殊な形式を持つ。この作品は僅か6つのエピソードで、それぞれは15-20分、最終話は30分で構成されている。普通、短い作品はキャラクターの成長、葛藤、プロットを適切に組み合わせることは難しい。しかしこの作品はそれ以上のことをしている。私はこの作品が有史以来最高のSFアニメ作品と言わねばならない。

まずはアニメーションの作画スタイルについて。これは Yasuhiro Yoshiura(吉浦 康裕)氏の作品(ペイル・コクーン、水のコトバなど)に精通している方なら馴染み深いものとなるだろう。シンプルかつ上品なデザインに挑戦している彼のキャラクターデザインは可愛らしく魅力的であり、全てのキャラクターにそれぞれ独自の特徴を与えている。

彼はコーヒーメーカーから天井扇にまで多くのCGを使っているが、それは決して悪目立ちすることはない。むしろ非常に詳細なアニメーションとして作品を華々しく彩っている。登場人物のまばたきは自然で、動作は非常に滑らかに描かれており、可愛い形をしたロボットはリアルに作られている。

イヴの時間 感想


注目すべき点の1つは、CGを用いた巧みなカメラワークであろう。Yoshiura はパンニング効果*1を最大限に活用することで、廊下を歩くなどの日常的な行動を描くシーンでさえ雄大なものにしている。もしこの作品がBlu-Rayでリリースされたならば、必ず購入すると言わざるを得ない。

作中で流れる曲は僅かであるが、しかしその限られたOST*2はとても印象的だ。特にラストシーンの挿入歌は見事なほどに調和していた。限られたBGMを補うのは、キャラクターの声と効果音だ。主人公 Rikuo の声は Jun Fukuyama(福山潤)が担当している。コードギアスルルーシュを思い浮かべてしまうのは私だけではないだろう。ヒロイン Sammy の声は Rie Tanaka(田中理恵)が担当していて、やや臆病で、しかし確固たる決意をもつ彼女を見事に演じている。他にも才能あふれる声優が多数出演していて、BGMの数が少ないこと以外にこの作品の音質環境には文句をつけることはできない。


そしてこの作品の最大の魅力は、ストーリーと登場人物の成長にある。それぞれのエピソードは場末のカフェ『イヴの時間』に訪れた客に焦点を当てて語られる。それは一見平凡なものに感じるかもしれないが、この作品は彼らを継ぎ目無く、詳細に、魅力的に映し出す。彼らのストーリーはハイテンポな様々な対話により流暢に進行していく。実際に彼らの性格全てを知ることは出来ないが、彼らの葛藤を、希望を、恐怖を、そして彼らの人生が互いに強く絡み合っていることを理解することはできる。そして私達は全ての登場人物、ロボットにさえ感情移入をしてしまう。

イヴの時間 感想


この作品を見ている間、あなたは笑い、泣き、乱暴に飛び跳ね、ショックで口を開けてしまうことだろう。そしてそれはたった1話のうちに行われる。Yoshiura は以前の作品を鑑みて、時間を一切無駄にしないスタイルで『イヴの時間』を制作したのだろう。

イヴの時間』は2か月に1話のペースで散発的に放映された。これは全てのエピソードが放映された時には既に1年が経っていたことを意味する。これだけの期間、私達を惹きつけ続けたことは Yoshiura の卓越した演出技術の証だろう。私はすべてのエピソードを楽しんだし、続きのエピソードを待つ時間は拷問に等しかった。しかし現在は全編通して一気に見ることができる。そしてこの作品の Rewatchability*3 は非常に高い。

しかし私を困らせた1つのことがある。この作品には明確な終わりが示されていないのだ。あのラストシーンは物語の続きが始まることを示唆しているように見える。ああ、私はそれが本当であることを望むしかないのだ。

さて、以上のレビューはかなり陳腐に見えるかもしれないが、しかし本当に素晴らしい作品について述べる時にはどのレビューもこうなってしまうのではなかろうか。結局何が言いたいかというと、今すぐこの作品を見てほしいということだ。後悔はさせない。



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*1:ビデオ用語。 カメラの位置を変えないでカメラの向きを左右に振り広い場面を写すこと。

*2:オリジナルサウンドトラック=劇中音楽

*3:何度も見返したくなる度合い...みたいな感じだろうか